トランプの交渉再開の誘いを無視し続ける金正恩の思惑
North Korea Ignores Trump's Overtures
トランプは6月27日にホワイトハウスの大統領執務室で記者団に対して「もしも紛争が起きても、私は彼と良好な関係にある。われわれが紛争を解決できるだろう」と述べた。
「金正恩とは良好な関係を築いてきた。潜在的な衝突があると言っている者もいるが、解決できると思う。それにもし衝突があったとしても、我々は当事者にはならないだろう」
韓国・ソウルを拠点とするシンクタンク「世宗研究所」の客員研究員であるアンドレイ・ランコフは、6月に発表した分析記事の中で「現在、アメリカとの交渉に応じなければならないほどの圧力を北朝鮮は感じていない」と述べた。
「このことは、北朝鮮側には2019年の米朝首脳会談終了時点から話し合いを始めるつもりがないことを意味している可能性がある」
ベトナムで行われたハノイ会談では、トランプ政権は朝鮮の完全かつ検証可能な非核化を要求、北朝鮮側はその対価として経済制裁の緩和を求めたが、核兵器廃棄の具体的な行動を示すまでには至らなかった。
金はこの時の提案の一部について『譲歩しすぎた』と感じて撤回し、より強硬な立場で協議に臨もうとしているのかもしれない」と、ランコフは言う。
「逆にアメリカの代表団はハノイ会談で拒否した条件を受け入れるか、あるいは交渉の決裂を受け入れるか、そのいずれかを迫られることになるかもしれない」