トランプの交渉再開の誘いを無視し続ける金正恩の思惑
North Korea Ignores Trump's Overtures

ウクライナ戦争でロシアに貸しを作って強気になった? 写真はロシア文化相(左)の訪朝を受け笑顔の金(6月29日、平壌) KCNA via REUTERS
<トランプは金正恩とは「良好な関係」にあると強調するが、金は2019年に最後にトランプと首脳会談を行った時より強硬になっている可能性がある>
ドナルド・トランプ米大統領は北朝鮮の金正恩総書記との対話再開に前向きな姿勢を示しているが、北朝鮮には無視され続けている。トランプは米朝対話に自信を示しているが、北朝鮮の国営メディアは今もアメリカを「敵対勢力」と呼ぶ。
トランプは1期目に金正恩と書簡を交わしたり首脳会談も行ったことを引き合いに出し、自分は金にかなりの影響力を持っていると主張している。だが、北朝鮮の核開発計画を縮小させようという試みはうまくいかなかった。北朝鮮は、アメリカやその同盟国である韓国による侵略を阻止するために核兵器は必要だと主張している。
対話の行き詰まりで両国関係はかえって冷え込み、北朝鮮は憲法の条文に「核戦力の高度化」を明記。弾道ミサイルの発射や挑発的な言動を再開し、韓国との緊張はいっそう高まっている。
本誌はこの件について在中国北朝鮮大使館にメールでコメントを求めたが、返答はなかった。
北朝鮮の与党・朝鮮労働党の機関紙「労働新聞」は6月29日の社説で、名指しは避けつつもアメリカを強く非難。「敵対勢力は10年以上にわたって前例のない厳しい制裁と封鎖に固執し続け、我が国に自立の道を放棄させようとした」と主張した。
さらに記事は北朝鮮が「帝国主義者」に断固として抵抗を続けていることを称賛し、彼らの企てに対する唯一の対抗手段は「国家の主権と安全を守るために強力な力を蓄えること」だと述べた。