新党「アメリカ党」結成を発表したマスクは、トランプ政権130日間で何を得て何を失ったのか

2025年7月7日(月)11時40分
楢橋広基(本誌記者)

内政で悪かった点:スリム化で削りすぎて大混乱!

しかし、マスクの改革は混乱ももたらした。

まず、大勢の公務員が解雇されたり早期退職したりしたことで、公共サービスが大幅に劣化した。英ガーディアンに対し、ミシガン大学のドナルド・モイニハン公共政策教授や、イェール大学予算研究所のマーサ・ギンベルは、DOGEの政策によって公共サービスが明らかに劣化していると述べている。

非営利調査団体「公共サービスのためのパートナーシップ」のマックス・スティアー会長に至っては「アメリカ国民が実感できるような改善は全くない」と喝破している。


連邦職員の減少人数はロイターの集計で26万人に上り(4月時点)、中には熟練労働者や高いパフォーマンスを発揮していた者も含まれていた。

また、マスクは2月22日、連邦政府職員に過去1週間の成果を示すようにメールで要請し、同月24日までに返答しない場合は辞職するとみなすと通告した。このメールへの対応は機関によってまちまちだったが、結局、人事管理局(OPM)がメールに返信しなくても辞職とはみなさないと人事担当者に伝えるなどして騒動は沈静化した。

効率化を目指しているくせに、職員の無駄な負担を増やしただけという皮肉な結果となった。

加えて、ロイターによると、政府機関へのAI導入を進めたものの、拙速な導入によって各所で混乱を招いたほか、導入したAIを政府職員の監視にも利用していた。AIを用いて職員が政権に不満を持っていないかなどを監視、職員を委縮させることとなった(なお、DOGEは一定時間経過後にメッセージが消える「シグナル」を利用していた。これは規則に違反している可能性がある)。

他にも、縮小や廃止の憂き目にあった機関の中には、対外支援を行う米国際開発庁(USAID)や、自由や民主主義といったアメリカの価値観を世界中に伝えるボイス・オブ・アメリカ(VOA)なども含まれていた。支援を必要とする途上国でアメリカのプレゼンスが低下し、中国など「敵国」を利する結果となった。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

イーライリリー経口肥満薬、売上が今年数十億ドルの予

ワールド

ロシアへ経済訪問団派遣を計画との報道、「事実ではな

ワールド

パリ警察が警備強化、爆破未遂受け 一部金融機関は在

ビジネス

欧州企業、第1四半期は4%増益の見通し エネルギー
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
2026年4月 7日号(3/31発売)

国際基準の情報開示や多様な認証制度──本当の「持続可能性」が問われる時代へ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    なぜイスラエルは対イラン戦争を支持するのか...「イラン恐怖」の正体
  • 2
    年金は何歳からもらうのが得? 男女で違う「最適な受給年齢」
  • 3
    破産申請の理由の4割以上が「関税コスト」...トランプ関税が米国民に与える「破産」の苦しみ
  • 4
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引…
  • 5
    血圧やコレステロール値より重要?死亡リスクを予測…
  • 6
    日本の男女の賃金格差は世界でも突出して大きい
  • 7
    人口減の自治体を救う「小さな浄水場」──誰もが常に…
  • 8
    先進国が出生数の減少を嘆く必要はない? 「経済的…
  • 9
    「一般市民に敵意なし」...イラン大統領が米国民宛て…
  • 10
    200年前の沈没記録が裏付けられた...捕鯨船を海の藻…
  • 1
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 2
    「水に流す」日本と「記憶する」韓国...気候と地理が育んだ「国民意識の違い」とは?
  • 3
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反対署名...「歓迎してない」の声広がる
  • 4
    記憶を定着させるのに年齢は関係ない...記憶の定着度…
  • 5
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引…
  • 6
    ロシア経済を支える重要な港、ウクライナのものと思…
  • 7
    なぜイスラエルは対イラン戦争を支持するのか...「イ…
  • 8
    映画『8番出口』はアメリカでどう受け止められた?..…
  • 9
    中国最大の海運会社COSCOがペルシャ湾輸送を再開──緊…
  • 10
    オランウータンに「15分間ロックオン」された女性のS…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 4
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...…
  • 5
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 10
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中