最新記事
ガザ

命がけで並ぶ配給所の列...イスラエル封鎖下のガザで起きていること

2025年6月12日(木)08時26分

ガザの保健当局は9日、新しい配給システムが導入されてからの2週間、ほぼ毎日銃撃があり、物資を受け取ろうとしたパレスチナ人127人が死亡したと発表した。

人道支援団体「ノルウェー難民評議会」のヤン・エグランド事務局長は、配給システムが人道支援の中核を成す原則に違反していると批判。人々を死闘へと駆り立てるディストピア小説「ハンガー・ゲーム」に例え、「一握りの者だけが報われ、大多数は命を危険にさらすだけで何も得られない」と語った。


 

同氏は、国際人道法は戦乱地域での援助について、政治または軍事戦略の一部ではなく中立的な仲介者を通じて提供されるべきだと定めていると指摘した。

GHFは中立性に関する質問には直接回答せず、2週間で1100万人分の食料を安全に配給したと答えた。ガザの人口は約210万人。

飢饉のリスク

11週間にわたるガザの封鎖後、イスラエルは5月19日に国連主導の援助活動を限定的に再開させた。専門家はその1週間前、ガザに飢饉の危険が迫っていると警告していた。国連は、ガザに許可された援助は「大海の一滴」に過ぎないとしている。

国連の活動とは別に、イスラエルは従来の援助団体の頭越しに、GHFがガザで4つの拠点を開設することを許可した。情報筋2人によると、GHFの拠点は、米プライベートエクイティ企業が一部所有する米物流企業が監督しており、米軍出身の民間請負業者が警備を提供している。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ネタニヤフ氏、豪首相への攻撃強める ユダヤ人団体は

ビジネス

日産本社ビル売却先で米KKRが最有力候補、900億

ワールド

インド総合PMI、8月は65.2に急上昇 企業が大

ワールド

インドネシア経常赤字、第2四半期は30億ドルに拡大
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:台湾有事 そのとき世界は、日本は
特集:台湾有事 そのとき世界は、日本は
2025年8月26日号(8/19発売)

中国の圧力とアメリカの「変心」に危機感。東アジア最大のリスクを考える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「死ぬほど怖い」「気づかず飛び込んでたら...」家のプールを占拠する「巨大な黒いシルエット」にネット戦慄
  • 2
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人」だった...母親によるビフォーアフター画像にSNS驚愕
  • 3
    中国で「妊娠ロボット」発売か――妊娠期間も含め「自然に近い」と開発企業
  • 4
    20代で「統合失調症」と診断された女性...「自分は精…
  • 5
    夏の終わりに襲い掛かる「8月病」...心理学のプロが…
  • 6
    広大な駐車場が一面、墓場に...ヨーロッパの山火事、…
  • 7
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医…
  • 8
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 9
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コ…
  • 10
    習近平「失脚説」は本当なのか?──「2つのテスト」で…
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに感染、最悪の場合死亡も
  • 3
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...「就学前後」に気を付けるべきポイント
  • 4
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 5
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コ…
  • 6
    「死ぬほど怖い」「気づかず飛び込んでたら...」家の…
  • 7
    「笑い声が止まらん...」証明写真でエイリアン化して…
  • 8
    【クイズ】次のうち、「海軍の規模」で世界トップ5に…
  • 9
    中国で「妊娠ロボット」発売か――妊娠期間も含め「自…
  • 10
    「長女の苦しみ」は大人になってからも...心理学者が…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 7
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 8
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 9
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 10
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中