中国が支配する「闇の漁業ネットワーク」...他国のEEZ内で地元漁師を苦しめる違法操業の実態とは
China Dominates 'Dark' Network Behind Global Fishing Crisis
「闇の漁業ネットワーク」は水陸ともに存在
こうした違法操業を支えるのに不可欠なのが、海上に広がる、いわゆる「闇の漁業ネットワーク」だ。
冷凍運搬船(リーファー)は、違法操業を行う漁船との間で漁獲物や物資、乗組員を移送し、港への寄港を回避する手段となっている。これにより、漁獲物の出所や労働環境の実態を隠すことができる。
これら冷凍運搬船は、IUU漁業防止を目的とした「寄港国措置協定」に加盟していない国の港で荷揚げを行うケースが多く、監視が機能しにくい。
中国企業の存在感も顕著だ。
イカ漁船と冷凍運搬船の間で行われた洋上での積み替えの約90%が中国資本の冷凍運搬船によって行われている。さらに、中国が所有している冷凍運搬船の15隻が洋上積み替え件数全体の72%を占めた。これら15隻はいずれも「便宜置籍船」として船籍を外国に登録しており、実質的に中国資本が所有している事実を隠していた。
タンカーによる給油も重要な役割を果たしている。タンカーは漁船に燃料を供給し、海上での滞在期間をさらに延ばすことを可能にしている。給油船の多くは操業記録の報告義務がないので記録に残ることもなく、取り締まりの網をすり抜けている。
C4ADSは、こうした支援船の中には「洋上漁業基地」としての機能を果たすものもあると指摘する。これらの支援船は、物流や運営の調整まで担い、事実上違法操業の拠点となっている。