SNSで大人気の「プーチンの盟友」...アフリカ最年少指導者は英雄か新たな独裁者か?
The Young Putin Ally Winning Hearts Across Africa: Who Is Ibrahim Traoré?

戦勝80周年記念式典への参加のためロシアを訪問しプーチンと握手するトラオレ(5月9日) Alexei Nikolsky/Host agency RIA Novosti/Handout-REUTERS
<34歳で実権を掌握したブルキナファソのトラオレ暫定大統領。アフリカ全土へと人気を拡大させた背景にある「AI」と「燃える演説」とは>
2022年9月、ある若者が全世界の注目を集めた。西アフリカのブルキナファソでクーデターを起こし軍事政権を打倒したのは、イブラヒム・トラオレという若干34歳の青年だったのだ。
同年だけで2回の軍事クーデターが起こったブルキナファソで、トラオレはアフリカ最年少の国家元首として大統領に就任。主権の回復と西洋の植民地的影響の排除を誓い、祖国を超えてアフリカの人々の心をつかんでいくことになる。
「トラオレは、各国で『民主主義』と称される体制の腐敗にうんざりしている若者層に響く革命的なメッセージを発している」と米タフツ大学のチディ・オディンカール教授(アフリカ研究)は分析する。
セネガル・トンブクトゥ平和研究所のババカール・ンジャイ上級研究員は「アフリカでは従来の指導層に対する根深い不満があり、西洋というスケープゴートに向けられた怒りが一層激しくなっている」とトラオレのような指導者が台頭するアフリカの現状を指摘する。
一方、トラオレは権威主義的傾向を見せており、西アフリカの民主主義と人権の将来に対する国際社会からの懸念を招いてもいる。