SNSで大人気の「プーチンの盟友」...アフリカ最年少指導者は英雄か新たな独裁者か?
The Young Putin Ally Winning Hearts Across Africa: Who Is Ibrahim Traoré?
トラオレとはどのような人物か?
トラオレはブルキナファソ西部のボンドクイ出身。首都のワガドゥグ大学で地質学を学んだ後、2010年に軍に入隊した。国内北部でのジハード主義勢力との戦闘において前線での経験を積み、その後は隣国マリでの国連平和維持活動(PKO)にも参加した。
2020年までに大尉へと昇進し、ブリキナファソ中部カヤに駐屯する砲兵部隊を指揮していた。政権が暴力の拡大を食い止められないことに不満を募らせ、当時の暫定大統領、ポール=アンリ・サンダオゴ・ダミバを打倒するクーデターを主導した。2022年10月、トラオレは暫定大統領に就任し、安全保障と国家主権の回復を誓った。
就任以来、トラオレはブルキナファソの経済的自立を推進している。外資支配を抑制するため国営鉱山会社を設立し、農業機械を配布し、地方道路や新空港などのインフラプロジェクトを立ち上げた。
トラオレ政権はIMFや世界銀行からの融資を拒否し、国内債務の整理を行っている他、公務員の給与を50%引き上げた。
また、外交方針も転換した。2023年にはフランス軍を追放し、フランスの長年にわたる軍事的駐留に終止符を打った。ロシア大使館の再開や、マリ、ニジェールとの間で「サヘル諸国同盟」を結成したことは、親ロ路線への傾倒の象徴と言える。
今年5月には、トラオレはロシアを訪問し、対ドイツ戦勝80周年記念式典に参加。プーチン大統領とも会談し、両国間の関係の深化を強調した。
しかし、こうした取り組みにもかかわらず、同国での暴力は激化している。国土の60%以上が国家の統制外にあり、200万人以上が避難を余儀なくされている。治安部隊には深刻な人権侵害の疑いがあり、国際的な監視を求める声も上がっている。