最新記事
南アフリカ

トランプの「白人虐殺」虚偽主張より深刻...南アを覆う「マンデラの罪」と「中国の影」

2025年5月26日(月)14時45分
ハワード・フレンチ(フォーリン・ポリシー誌コラムニスト)
ラマポーザとの首脳会談で「虐殺の証拠」を見せるトランプ

ラマポーザ(左)との首脳会談で「虐殺の証拠」を見せるトランプ(5月21日) SIPA USAーREUTERS

<偉大なリーダー・マンデラの指導の下、南アフリカの苦境はむしろ人種差別撤廃の後から始まっていた>

最近のトランプ米大統領は南アフリカ出身の大富豪イーロン・マスクの後押しを受ける形で、ただでさえ深刻な経済的・人種的・歴史的問題を抱える南アフリカへの攻撃を強化してきた。

まず今年2月、トランプ政権は南ア政府が少数派の白人に対する「大規模な人権侵害」を行っているとして援助停止を決めた。


この措置はアパルトヘイト(人種隔離政策)時代の土地所有の格差を是正するため、政府に限定的な条件下で土地収用を認める新法への直接的反応だ。この法律の下で実際に収用された土地はない。

そして5月21日、ホワイトハウスで行われた南アのラマポーザ大統領との首脳会談で、トランプは南アの白人農民の「集団墓地」と称する映像を流し、現在進行中の大量虐殺の犠牲者だと主張した。

だが、この主張は虚偽だった。メディアは集団墓地映像の不正確さや、実際にはコンゴ民主共和国の虐殺の写真だったことなど、トランプが提示した証拠を否定した。

【動画】南アと関係ない動画をラマポーザに見せつけるトランプ

ラマポーザはトランプにやんわりと反論し、同行したオランダ系白人移民の子孫であるアフリカーナーの有力者に虐殺の主張を否定させ、アメリカとの関係改善を訴えた。

試写会
『おばあちゃんと僕の約束』トークイベント付き特別試写会 5組10名様ご招待
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ザポリージャ原発再稼働の兆候ない=IAEA高官

ワールド

訪欧外国人旅行者の支出、今年は11%増の見通し=業

ビジネス

財政審建議、コメ不足なら輸入すればよいとの趣旨でな

ビジネス

SHEINが製品安全試験強化へ、EUの制裁金警告受
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:岐路に立つアメリカ経済
特集:岐路に立つアメリカ経済
2025年6月 3日号(5/27発売)

関税で「メイド・イン・アメリカ」復活を図るトランプ。アメリカの製造業と投資、雇用はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「MiG-29戦闘機」の空爆が、ロシア国内「重要施設」を吹き飛ばす瞬間
  • 2
    「ウクライナにもっと武器を」――「正気を失った」プーチンに、米共和党幹部やMAGA派にも対ロ強硬論が台頭
  • 3
    3分ほどで死刑囚の胸が激しく上下し始め...日本人が知らないアメリカの死刑、リアルな一部始終
  • 4
    イーロン・マスクがトランプ政権を離脱...「正直に言…
  • 5
    「ディズニーパーク内に住みたい」の夢が叶う?...「…
  • 6
    中国戦闘機「殲10」が仏機を撃墜...実力は本物? 世…
  • 7
    今や全国の私大の6割が定員割れに......「大学倒産」…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「ダイヤモンド」の生産量が多…
  • 9
    ワニにかまれた直後、警官に射殺された男性...現場と…
  • 10
    【クイズ】世界で2番目に「金の産出量」が多い国は?
  • 1
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「MiG-29戦闘機」の空爆が、ロシア国内「重要施設」を吹き飛ばす瞬間
  • 2
    今や全国の私大の6割が定員割れに......「大学倒産」時代の厳しすぎる現実
  • 3
    【クイズ】世界で最も「ダイヤモンド」の生産量が多い国はどこ?
  • 4
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 5
    「ウクライナにもっと武器を」――「正気を失った」プ…
  • 6
    デンゼル・ワシントンを激怒させたカメラマンの「非…
  • 7
    アメリカよりもヨーロッパ...「氷の島」グリーンラン…
  • 8
    「ディズニーパーク内に住みたい」の夢が叶う?...「…
  • 9
    友達と疎遠になったあなたへ...見直したい「大人の友…
  • 10
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 5
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 6
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 7
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 8
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 9
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 10
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中