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南アフリカ

トランプの「白人虐殺」虚偽主張より深刻...南アを覆う「マンデラの罪」と「中国の影」

2025年5月26日(月)14時45分
ハワード・フレンチ(フォーリン・ポリシー誌コラムニスト)

ここで南アの現状を理解するために、過去を簡単におさらいしよう。1994年のアパルトヘイト撤廃後に生まれた楽観的な空気はとうに消え去った。アパルトヘイトは公式には46年間だが、白人支配と金やダイヤモンドなどの採掘によって莫大な富を生み出した経済体制は、それ以前からはるかに長期間続いていた。

マンデラ元大統領の賢明で寛大なリーダーシップの下、南アはアパルトヘイトから脱却した。だがマンデラの人間性と温かさだけでは、この国の問題を解決できなかった。南アはアフリカで最も豊かな国だが、世界で最も格差の大きい国の1つでもある。マンデラには、この国の経済発展を後押しするための効果的な戦略が欠けていた。


マンデラ時代の南アを短期間取材した経験がある私は長年、当時の南アが経済的変革を成し遂げる最良の方策はアフリカ大陸の南半分の経済統合を主導することだったと考えてきた。この地域のインフラは貧弱だが、水力発電の潜在能力は大きく、鉱物資源にも恵まれている。

だがマンデラは、この地域全体のリーダーシップを発揮することに後ろ向きで、反アパルトヘイト闘争を何十年も支援してくれた近隣諸国にもっと謙虚な姿勢で接することを好んだ。

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