難民を毛嫌いするトランプも南アの「白人」だけは特別扱い? 難民受け入れを凍結したアメリカの「矛盾」

第1陣の白人59人が米ワシントン近郊に到着 JONATHAN ERNSTーREUTERS
<トランプと南ア出身のイーロン・マスクは根拠のない持論を展開し、南アの白人を「難民」として歓迎している>
南アフリカで白人が迫害されているとして、米政府が「難民」の受け入れを開始。5月12日、第1陣の59人が首都ワシントン近郊に到着した。
トランプ大統領と、南ア出身で政府効率化省を率いるイーロン・マスクは、南ア政府の土地再分配政策によって白人の土地が不当に奪われていると主張。さらに、白人への「ジェノサイド(集団虐殺)」が進行しているという根拠のない訴えも繰り返している。
一方、南ア政府は白人差別を否定し、米政府の白人受け入れを「政治的動機」によるものと批判している。実際、アパルトヘイト(人種隔離政策)廃止から30年以上たった今も、南アでは白人の圧倒的優位が続く。人口の7%しかいない白人が約70%の土地を所有する一方、80%を占める黒人の土地は4%にとどまる。
米政府の対応には人権団体からも非難の声が上がっている。トランプ政権は世界中の難民の受け入れを凍結しており、南アの白人だけを特別扱いすることになるためだ。

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