最新記事
人権

【渡航注意】今のアメリカでうっかり捕まれば、裁判もなく中米の監禁センターに送られ、間違いとわかっても帰還は望めない

Donald Trump Hit With New Demand Amid Deported Maryland Dad's Legal Fight

2025年4月16日(水)19時40分
ダン・グッディング、ゲイブ・ウィズナント
家族と普通に暮らしていたアブレゴ=ガルシア

家族と普通に暮らしていたが、ある日手違いで連行され有無を言わさずエルサルバドルの凶悪施設に収容されたアブレゴ=ガルシア。トランプ政権に彼を救う気はない Abrego Garcia Family/Handout via REUTERS

<米国在住の男性が誤ってエルサルバドルに送還された問題で、トランプ政権は最高裁の帰還命令に従わず、世界最悪で凶悪と言われる巨大刑務所に放置しようとしている>

行政上の手違いでアメリカから国外追放されたエルサルバドル出身の男性キルマー・アルマンド・アブレゴ=ガルシアの処遇をめぐって、米連邦最高裁判所は4月10日、男性の帰還を「容易にする」必要があるとトランプ政権に命じる判決を全員一致で下した。

しかしトランプ政権はこれを無視、アブレド=ガルシアはギャングの疑いがある200人以上の不法移民と共に送られたエルサルバドルの悪名高い巨大刑務所、テロ監禁センター「CECOT」に収監されたままになりそうだ。

 CECOTの映像に映っていたアブレド=ガルシアの変わり果てた姿

メリーランド州に家族と住み働いていたアブレゴ=ガルシアの弁護士とメリーランド州連邦地裁判事は、トランプ政権は最高裁判決に従ってアブレゴ=ガルシアを帰還させる努力をする必要があると訴えた。

 アブレド=ガルシアの解放を訴える妻


だが、政権の解釈は異なる。「最高裁は昨夜、返還を実現するのではなく、返還を容易にすることが政権の責任であると明確にした」と、ホワイトハウスのキャロライン・リビット報道官は11日に記者団に語った。

メリーランド州連邦地裁のポーラ・ジニス判事が下した判決は、「4月7日(月)午後11時59分までに(アブレゴ=ガルシアの)アメリカへの帰還を容易にし、実現しなければならない」と命じるもので、トランプ政権はこれを覆すよう最高裁に求めていた。

インタビュー
現役・東大院生! 中国出身の芸人「いぜん」は、なぜ「日本のお笑い」に挑むのか?
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

アングル:ブラジルのコーヒー農家、気候変動でロブス

ワールド

アングル:ファッション業界に巣食う中国犯罪組織が抗

ワールド

中国で「南京大虐殺」の追悼式典、習主席は出席せず

ワールド

トランプ氏、次期FRB議長にウォーシュ氏かハセット
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の展望。本当にトンネルは抜けたのか?
  • 2
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の脅威」と明記
  • 3
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 4
    「前を閉めてくれ...」F1観戦モデルの「超密着コーデ…
  • 5
    現役・東大院生! 中国出身の芸人「いぜん」は、なぜ…
  • 6
    世界最大の都市ランキング...1位だった「東京」が3位…
  • 7
    首や手足、胴を切断...ツタンカーメンのミイラ調査開…
  • 8
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 9
    「体が資本」を企業文化に──100年企業・尾崎建設が挑…
  • 10
    トランプが日中の「喧嘩」に口を挟まないもっともな…
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 6
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 7
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 8
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキ…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中