恐怖支配と性的暴行...「世界で最も孤立した場所」南極基地で何が? 「完全に壊れた人も」
Life at the Extreme

性的暴行疑惑が報じられた南アフリカの南極基地だが、フラングワニは、機会があればまた行きたいと語る DR ROSS HOFMEYR/WIKIPEDIA
<南アフリカが運営する観測基地で起きた事件が浮き彫りにする、滞在メンバーたちの心身のバランスをむしばむ過酷な状況下の暮らし>
南アフリカが運営する南極観測基地(通称サナエ基地)は、地球上で最も孤立した場所の1つだ。1年のうち10カ月は厳しい気象条件にさらされて、外界から切り離されるのだから。基地での生活は厳しいが、それが恐怖に変わることもある。
■【動画】恐怖支配と性的暴行...完全な孤立状態のなかで「異常事態」が発生した南極サナエ基地の内部映像
南アのメディアによると、サナエ基地に滞在している研究チームのメンバーから、「不安をかき立てる言動」と「恐怖に支配された環境」について政府当局にSOSのメールが届いたのは2月下旬のこと。基地には9人が滞在しているが、このうち1人が複数のメンバーに性的暴行や嫌がらせを働いたり、殺すと脅したりしているという。
だが、早期に助けがくることは望めそうにない。サナエ基地は、南ア第2の都市ケープタウンから約4000キロ離れており、最も近い「お隣さん」であるドイツの南極基地とも約300キロ離れている。そのため、どこかに緊急避難することは選択肢から外さざるを得なかった。
南極はこれからが冬本番。船舶や飛行機でアクセスを図ることは、これまで以上に難しくなる。しかもサナエ基地は、海岸から170キロ内陸部にある。南アフリカの砕氷船が補給のために訪れるのも12月の予定となっており、基地の人間が脱出することは、当面不可能だ。