最新記事
事件

恐怖支配と性的暴行...「世界で最も孤立した場所」南極基地で何が? 「完全に壊れた人も」

Life at the Extreme

2025年5月17日(土)16時23分
バーニー・ヘンダーソン(本誌米国版コンテンツ・ディレクター)
暴行や脅迫事件が起きた南極の南ア基地

性的暴行疑惑が報じられた南アフリカの南極基地だが、フラングワニは、機会があればまた行きたいと語る DR ROSS HOFMEYR/WIKIPEDIA

<南アフリカが運営する観測基地で起きた事件が浮き彫りにする、滞在メンバーたちの心身のバランスをむしばむ過酷な状況下の暮らし>

南アフリカが運営する南極観測基地(通称サナエ基地)は、地球上で最も孤立した場所の1つだ。1年のうち10カ月は厳しい気象条件にさらされて、外界から切り離されるのだから。基地での生活は厳しいが、それが恐怖に変わることもある。

■【動画】恐怖支配と性的暴行...完全な孤立状態のなかで「異常事態」が発生した南極サナエ基地の内部映像

南アのメディアによると、サナエ基地に滞在している研究チームのメンバーから、「不安をかき立てる言動」と「恐怖に支配された環境」について政府当局にSOSのメールが届いたのは2月下旬のこと。基地には9人が滞在しているが、このうち1人が複数のメンバーに性的暴行や嫌がらせを働いたり、殺すと脅したりしているという。


だが、早期に助けがくることは望めそうにない。サナエ基地は、南ア第2の都市ケープタウンから約4000キロ離れており、最も近い「お隣さん」であるドイツの南極基地とも約300キロ離れている。そのため、どこかに緊急避難することは選択肢から外さざるを得なかった。


南極はこれからが冬本番。船舶や飛行機でアクセスを図ることは、これまで以上に難しくなる。しかもサナエ基地は、海岸から170キロ内陸部にある。南アフリカの砕氷船が補給のために訪れるのも12月の予定となっており、基地の人間が脱出することは、当面不可能だ。

対談
為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 セカンドキャリアの前に「考えるべき」こととは?
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

韓国特別検察官、尹前大統領の拘束令状請求 職権乱用

ワールド

ダライ・ラマ、「一介の仏教僧」として使命に注力 9

ワールド

台湾鴻海、第2四半期売上高は過去最高 地政学的・為

ワールド

BRICS財務相、IMF改革訴え 途上国の発言力強
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプvsイラン
特集:トランプvsイラン
2025年7月 8日号(7/ 1発売)

「平和主義者」のはずの大統領がなぜ? 核施設への電撃攻撃で中東と世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 3
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚人コーチ」が説く、正しい筋肉の鍛え方とは?【スクワット編】
  • 4
    孫正義「最後の賭け」──5000億ドルAI投資に託す復活…
  • 5
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」…
  • 6
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコ…
  • 7
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 8
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 9
    「詐欺だ」「環境への配慮に欠ける」メーガン妃ブラ…
  • 10
    アリ駆除用の「毒餌」に、アリが意外な方法で「反抗…
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 3
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコに1400万人が注目
  • 4
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 5
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 6
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 7
    【クイズ】「宗教を捨てる人」が最も多い宗教はどれ?
  • 8
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 9
    砂浜で見かけても、絶対に触らないで! 覚えておくべ…
  • 10
    普通に頼んだのに...マクドナルドから渡された「とん…
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 5
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 6
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 9
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 10
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中