トランプの「白人虐殺」虚偽主張より深刻...南アを覆う「マンデラの罪」と「中国の影」
この不作為のせいで、南アは大きなチャンスと経済的利益をつかみ損ねた。その結果として生まれた力の空白に中国が入り込み、90年代後半には建設と貿易の分野でアフリカの主要パートナーとなった。
それ以来、南アは経済の停滞、高失業率、統治機能の低下、悪化し続ける格差に悩まされている。こうした要因の全てが相まって暴力犯罪の蔓延を招き、世界で最も危険な国の1つになっている。
人口約6000万の南アで昨年起きた殺人事件は2万6232件。だが、農村関連の事件はわずか44件で、農民の被害者は8人にすぎない(トランプが主張する「白人虐殺」の犠牲者の多くは農民とされている)。
トランプの言動を単なる暴論と片付けるべきではない。この人物を世界最強国家のトップに選んだ社会の誠実さを問う事態として、厳しく受け止める必要がある。