ジョセフ・ナイが遺した「ソフトパワー」...トランプ再登場でその理想も静かに幕を閉じる
THE LOSS OF NYE’S WORLD
第2次トランプ政権は最初の数カ月で、ナイが浸透させる力になったソフトパワーに対する取り組みを見事に放棄した。
米国際開発庁(USAID)を解体し、人道的・人権的活動に従事する市民団体への資金提供を削減した。移民や外国人のビザを制限し、大学や研究機関を攻撃し、世界各地における外交的プレゼンスを縮小した。
国の理想が消えゆくなかで
一方で、ドナルド・トランプ米大統領は大西洋を横断した同盟関係には無関心だ。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領を甘やかし、カナダ、パナマ、グリーンランドを脅した。一貫性のない関税政策は、アメリカの戦後アイデンティティーの土台に亀裂を入れた。
ナイはこの巻き返しを目の当たりにした。死のちょうど1週間前、彼はCNNのインタビューで語った。
「トランプ大統領はソフトパワーを理解していないと思う。パワーを棍棒、ニンジン、ハチミツに例えるなら、彼はハチミツを捨てた。だがこの3つが互いに補強し合えば、より多くの成果がある。ハチミツという魅力があれば、ニンジンと棍棒を使わずに済むかもしれない。だからUSAIDの人道支援の中止のようなものは、パワーを発揮する主要回路の1つを失うことを意味する」
"I'm afraid President Trump doesn't understand soft power," says the man who coined the term, Harvard's @Joe_Nye. "Think back on the Cold War--American nuclear deterrence and American troops in Europe were crucial. But when the Berlin Wall went down, it didn't go down under a... pic.twitter.com/xPSTK5t5Wv
— Jim Sciutto (@jimsciutto) May 1, 2025