最新記事
アメリカ

ジョセフ・ナイ「中国よりアメリカが優位な7つの理由」

GREAT POWER GAME

2025年2月19日(水)20時45分
ジョセフ・ナイ(ハーバード大学特別功労教授)
アメリカ国旗

筆者は「ソフトパワー」でもアメリカ優位とみる CYANO66/ISTOCK

<知日派の重鎮ナイ教授が断言。貿易から軍事、AIまで、トランプ政権は中国を最大の外的脅威とみなしているが、長期的に見れば、アメリカは中国より有利なカードを「7枚」所有している>

トランプ米大統領いわく、中国はアメリカの最大の外的脅威だ。多くの国でアメリカをしのいで最大の貿易相手国となっている。軍事費を増強し、兵力を近代化して核兵器の保有を増やしている。さらにはAI(人工知能)の分野でもアメリカを追い上げている。米国防総省は中国を「刻々と深刻化する脅威」に位置付けている。

重要な戦略の立案には、長期的な脅威を過小評価してはいけないし、過大評価をしてもいけない。アメリカには多くの課題がある。長期的に見れば、私は中国よりもアメリカの手札が有利だと考える。


火星人が地球を訪れたと仮定しよう。2つの超大国が2040年の優位を決めるポーカーゲームをしている。さてどっちに賭けるか? それぞれのカードを透視し、アメリカが有利なカードを7枚所有していると分かればアメリカに賭けるはずだ。

アメリカが持つ最強のカードの1つが地理だ。ネットが世界をつなぐ時代に地理は関係ないとの見方もあるが、アメリカが2つの大洋と2つの友好国に囲まれている一方、中国はインドをはじめ多くの国境問題を抱えている。

2番目に強いカードは人口だ。中国は15年に労働力人口のピークを迎えたが、アメリカは人口と労働力が増加している数少ない先進国でもある。アメリカの出生率は低下しているものの、移民国家らしく移民が流入している。中国はそうではない。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

石破首相「双方の利益になるよう最大限努力」、G7で

ワールド

米中貿易枠組み合意、軍事用レアアース問題が未解決=

ワールド

独仏英、イランに核開発巡る協議を提案 中東の緊張緩

ワールド

イスラエルとイランの応酬続く、トランプ氏「紛争終結
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?...「がん」「栄養」との関係性を管理栄養士が語る
  • 2
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 3
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 4
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 5
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 6
    メーガン妃とキャサリン妃は「2人で泣き崩れていた」…
  • 7
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 8
    さらばグレタよ...ガザ支援船の活動家、ガザに辿り着…
  • 9
    ハルキウに「ドローン」「ミサイル」「爆弾」の一斉…
  • 10
    若者に大不評の「あの絵文字」...30代以上にはお馴染…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 5
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 6
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 7
    今こそ「古典的な」ディズニープリンセスに戻るべき…
  • 8
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 9
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 10
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中