台湾のソフトパワー「小籠包」の美味が世界を席巻する!?

Soup Dumplings as Soft Power

2025年3月7日(金)16時28分
リシ・アイエンガー(フォーリン・ポリシー誌記者)

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台湾が得意とする半導体と同じく、鼎泰豐の小籠包は安定した品質を誇る ORIENTAL IMAGEーREUTERS

香港には点心を出すレストランは山ほどあるが、おすすめの店を聞かれたら、私は迷わず鼎泰豐を挙げる。香港に駐在した2年半、この店にはさんざんお世話になった。

それにしても、世界中の鼎泰豐に足しげく通う常連客のうち、いったい何人が鼎泰豐の点心を台湾の味だと知っているのだろう。実は私も香港に着任して数カ月が過ぎ、九龍店を何度も訪れてからようやく気付いた。グーグルマップでもニューヨーク店は「チャイニーズ・レストラン」と記されている。


だがフードライターのカオによると、ルーツが分かりにくいのが台湾料理の特徴だという。「かつて国民党政権が自分たちこそ正統な中国政府だと主張していた時代には、台湾料理も中国に数ある郷土料理の1つだといわれていた」と、カオは言う。「私はその逆だと思う」

さまざまな郷土料理の流れをくみ、それらを融合して生まれた台湾料理は、各地の料理の頂点に立つ、というのだ。

鼎泰豐の自慢の味は小籠包だけではない。ワンタンや麺、スープ、チャーハンなどメニューは豊富で、デザートにはチョコレートやタロイモ、黒ごま入りの点心もある。

とはいえ、スパイスの効いた豚のミンチと薄味のスープ入りのオリジナル小籠包は、今も押しも押されもせぬこの店の看板料理だ。

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