「2国家解決」で歴史に名を残したい、2人の思惑が合致するとき...サウジの「外交Xデー」はあるのか?

HOUSE OF CARDS

2025年1月16日(木)15時52分
トム・オコナー(外交問題担当副編集長)

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23年には中国がサウジとイランの国交回復を仲介 IRAN'S PRESIDENT WEBSITEーWANAーHANDOUTーREUTERS


これに対してバイデンは、当初からサウジに対して冷淡だった。20年大統領選の遊説では反体制派サウジ人ジャーナリストの殺害事件を受けて、サウジを世界の「のけ者」にすると発言。大統領就任後はサウジへの武器売却を一時凍結した。

サウジも、22年のロシアのウクライナ侵攻に伴い世界的なエネルギー価格上昇が起きたとき、バイデンが原油増産を直々に要請したにもかかわらず拒絶するなど、アメリカとの関係が目立って悪化した時期があった。

トランプ1期目とは違う状況

だが、サウジは民主党政権とも共和党政権ともうまく協力してきたと、アンサリは言う。とりわけバイデン政権のマイケル・ラトニー駐サウジ大使は、「相互尊重の精神で、両国の協力関係を拡大するべく積極的かつ賢明に努力した」と評価する。

トランプにしても、サウジとの関係がいつも良好だったわけではない。特に20年1月にネタニヤフと共に、「世紀の合意」という触れ込みで中東和平案を発表したときは、サウジを激怒させた。この和平案はサウジだけでなく、ハマスやパレスチナ自治政府にも拒絶されている。

アメリカ大使館の所在地をテルアビブからエルサレムに移したときや、イスラエルによるゴラン高原の併合を認めたときもそうだった。

20年のアブラハム合意にはアラブ首長国連邦(UAE)、バーレーン、モロッコ、スーダンが加わり、イスラエル・アラブ関係の大きな転機となったが、パレスチナ側は反発。サウジは現在まで、02年のアラブ和平イニシアチブで示した提案を取り下げる意思を見せていない。

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