トランプ番組「衝撃の舞台裏」を元プロデューサーが暴露...「詐欺」への加担を悔やむ

THE LONG CON

2024年6月20日(木)15時43分
ビル・プルイット(テレビプロデューサー)

newsweekjp_20240620041636.jpg

トランプと関係を持ち、口止め料を受け取ったと裁判で証言したストーミー・ダニエルズ MICHAEL M. SANTIAGO/GETTY IMAGES

ドラマチックな展開だった。これはいいリアリティー番組になると、私たちは手応えを感じた。

私たちはトランプ、ロス、ケプシャーが出場者の長所と短所を比べ、敗者を検討する様子を撮影した。

その後、トランプが出場者の中から3人を役員室に呼んだ。トランプはまず1人を質問攻めにして、「おまえは残す」と告げた。

続いて遺伝子について聞いた若者をじっと見た。これで敗者が決まった。本人もそう思ったらしく自分から席を立ったが、トランプは彼に座れと命じた。

3人目に向かって、トランプは台本どおりのせりふを口にした。「ここにはエレベーターが2台ある。上に行くエレベーターと、出口に降りるエレベーターだ。デービッド、おまえには出口行きに乗ってもらう」

コントロールルームで私たちはNBCの重役と緊急会議を行い、役員室に駆け込んだ。退場の場面を締めるには、もっとストレートなせりふが必要だった。

トランプに相談すると「デービッドをクビにすればいい」と言うので、ビーンストックが「では、彼に言い渡してもらえます?」と言った。「分かった」と、トランプがうなずいた。

3人の出場者が役員室に呼び戻された。トランプは既に自分の運命を知っているデービッドに「おまえはクビだ!」と告げた。

以降、「おまえはクビだ!」は決めぜりふとなって番組に定着した(トランプは後にこのせりふを商標登録しようとして、失敗した)。

撮影に現れるたびに、トランプは飢えたライオンの目で女性を見た。女性の撮影助手に色目を使い、出場者の容姿を品定めし、自分にカメラを向けているスタッフにエレベーターから降りろと命じた。「彼女は重すぎる」と言うのが聞こえた。

女性プロデューサーを捕まえ、誰をクビにすべきか意見を求めたこともあった。彼女は言葉を濁し、負けたチームの出場者が別の出場者をなじったことを話した。

するとトランプは両手を胸に持ち上げ、「これのある奴か?」と聞いた。出場者の名前を覚えていないのだ。トランプはその女性出場者をクビにした。

次々に出場者が退場し、2人が残った。ゴールドマン・サックス勤務で黒人のクワミ・ジャクソンとシカゴの実業家で白人のビル・ランシックが、ファイナリストだった。

最後の課題は、トランプの名を冠した商業施設が舞台だった。

ジャクソンはニュージャージー州のカジノ「トランプ・タージ・マハル」で歌手ジェシカ・シンプソンのコンサートを、ランシックはニューヨーク州の「トランプ・ナショナル・ゴルフクラブ」でセレブのトーナメントを仕切ることになった。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米PPI、12月は前月比0.5%上昇 5カ月ぶりの

ワールド

FRBの利下げ見送りは失策、ウォーシュ氏は議長に適

ワールド

イラン外相「公正なら」米と協議も、防衛問題には難色

ビジネス

株下落・ドル上昇、FRB議長後任にウォーシュ氏指名
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:高市 vs 中国
特集:高市 vs 中国
2026年2月 3日号(1/27発売)

台湾発言に手を緩めない習近平と静観のトランプ。激動の東アジアを生き抜く日本の戦略とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵士供給に悩むロシアが行う「外道行為」の実態
  • 2
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「副産物」で建設業界のあの問題を解決
  • 3
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界でも過去最大規模
  • 4
    日本はすでに世界第4位の移民受け入れ国...実は開放…
  • 5
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパ…
  • 6
    日本経済を中国市場から切り離すべきなのか
  • 7
    麻薬中毒が「アメリカ文化」...グリーンランド人が投…
  • 8
    秋田県は生徒の学力が全国トップクラスなのに、1キロ…
  • 9
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 10
    「外国人価格」で日本社会が失うもの──インバウンド…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 3
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界でも過去最大規模
  • 4
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 5
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「…
  • 6
    一人っ子政策後も止まらない人口減少...中国少子化は…
  • 7
    スペースXの宇宙飛行士の帰還が健康問題で前倒しに..…
  • 8
    町長を「バズーカで攻撃」フィリピンで暗殺未遂、大…
  • 9
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵…
  • 10
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 6
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 7
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 8
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
  • 9
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 10
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中