習近平はなぜ長期政権を目指すのか...中国共産党「非公開内部資料」から読み解けること
共産党は自由な発信の場となる可能性があったネット空間を裏切り者をあぶり出し、摘発する手段へと変えた。
人工知能(AI)やビッグデータといった最新技術を駆使して約14億人の国民の言動を監視、コントロールし、共産党の一党支配を半永久的に持続させる構想だ。「デジタル独裁」の権力乱用に懸念が強まる。
「あなたの行動はすべて把握していた」。私が2018年に新疆ウイグル自治区西部のカシュガル地区を訪問すると、公安当局が取り囲み行動を阻止した。流ちょうな英語を話すウイグル族の警察官は、監視カメラ映像や携帯電話の通信記録を基に追跡したと誇らしげに話した。
中国政府はウイグル族など少数民族が多く住む同自治区で「AI統治」を全国に先駆けて導入した。
2017年には、区都ウルムチ市にビッグデータを活用した治安維持を推進する「国家工程実験室」を設立。公安省、学術機関などが連携して「ビッグデータによる立体的な治安と防犯システムを構築する」(実験室主任)ための拠点だ。
同自治区では至る所に監視カメラや顔認証の機器が置かれ、当局はSNSのやりとりも監視。地元の男性は「当局の悪口を書き込んだら数分以内に警察が来る」と話した。習指導部は新型コロナウイルス流行をきっかけにこうした統治を全国に広げた。
政府は企業とも連携を深めている。テンセント、電子商取引(EC)最大手のアリババグループ、音声認識技術大手の科大訊飛など、党に忠実な企業を支援。企業側は膨大な量の個人情報を当局の求めに応じて提出しているとみられている。
微信や電子決済の利用者は、知らないうちに通話や購入の記録、資産運用などの情報が国に吸い取られる可能性を常に抱えている。国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチは、中国政府が国民の生体認証のデータベースを構築するため企業を通じて個人の音声認証データを集めているとして「歯止めなき監視」に懸念を示す。
強大な監視網を構築した結果、新疆ウイグル自治区では拘束者が急増。当局による個人情報の収集、保存、利用を監視する法律やメディアは事実上存在しない。
大熊雄一郎(おおくま・ゆういちろう)
共同通信社記者。2009年共同通信社入社。社会部、外信部を経て11年〜15年、中国総局で反日デモや党幹部失脚、香港「雨傘運動」などを取材。17年再度中国総局に赴任し米中貿易摩擦、香港大規模デモ、武漢新型コロナ流行、中国共産党結党100年、北京冬季五輪等を取材。第20回党大会を巡るスクープなどが国際報道に貢献したとされ、「ボーン・上田記念国際記者賞」(2022年)を受賞。
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