最新記事
NATO

ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉起動

NATO Aircraft Activated After Waves of Russian Strikes

2024年4月30日(火)19時46分
ブレンダン・コール

NATOの軍事演習でポーランドの上空を飛ぶイタリア空軍のユーロファイター・タイフーン戦闘機(3月14日) Dominika Zarzycka / SOPA Images via Reuters Connect

<ロシアの空爆が激しくなるにつれ、ポーランドなどウクライナ周辺のNATO加盟国では、「ウクライナの次」になることを恐れる緊張感に満ちている>

ポーランド空軍をはじめとする北大西洋条約機構(NATO)加盟国の戦闘機が一時、起動して臨戦体制に入った。4月26日、ロシアがウクライナに大規模な空爆を行ったときだ。

ポーランド軍作戦司令部は4月26日夜、ポーランド軍の軍用機が作戦遂行中であると発表し、同国南東部では騒音レベルが上昇する可能性があると住民に対して警告した。

 

この発表は、ロシア軍がウクライナのドニプロペトロウシク州、イヴァーノ=フランキーウシク州、リヴィウ州に点在するエネルギー施設に対し、大規模なミサイル攻撃を行なった中でもたらされた。ウクライナ空軍は、ロシア軍が発射したミサイル24基のうち21基を破壊したと発表している。

【動画】閲覧注意:HIMARS「ロケット砲」攻撃が、集合したロシア兵士を「直撃」...ウクライナが公開した衝撃の瞬間

ポーランド軍はX(旧Twitter)への投稿でこう書いた。「ウクライナ領土内にある複数の目標に対して実行されたミサイル攻撃に関連してロシア連邦の活動が確認された」「我が国の領空の安全を確保するため、必要なすべての手段を実行する」

数時間後、続報を伝える投稿でポーランド軍は、ウクライナに対して再び行なわれた波状的な長距離攻撃を受けて、「ポーランドと同盟国の軍用機は臨戦体制にある」と述べた(ポーランド語からの翻訳による)。

侵犯があれば戦う

ポーランドは3月24日に、ウクライナ西部を狙ったロシアのミサイルがポーランド領空を39秒間侵犯した、と激しく抗議したばかりだ。

本誌からのコメント要請に対し、ポーランド国防省は、2つ目のXへの投稿に言及したうえで、「当軍の作戦司令部とは常時連絡」を取り合っていると付け加えた。「作戦司令部は任務を果たし、(ポーランドの)軍用機を臨戦体制に置いている。同盟国軍も同様の行動を行っている」

今回は領空侵犯のような一触即発の事件はなかったが、ポーランドはロシアがウクライナの次に狙うのは隣国のポーランドをはじめとするNATO加盟国だと神経を尖らせてきた。

プーチンは、核攻撃も辞さないと西側諸国を脅し、ポーランドやリトアニア、ラトビア(いずれもNATO加盟国)と隣接するベラルーシに核兵器を配備した。ポーランドのラドスワフ・シコルスキ外相は4月25日、ロシアとNATOの間で戦争が起きればロシアの「不可避的な敗北」に終わると発言した。

27日夜のミサイル攻撃では、ウクライナ最大の民間エネルギー企業DTEKが、同社の火力発電所のうち4基が深刻な被害を受けたと発表した。ただし、それらの施設がどこにあるのか、詳細な情報は提供しなかった。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

イスラエルがイラン再攻撃計画か、トランプ氏に説明へ

ワールド

プーチン氏のウクライナ占領目標は不変、米情報機関が

ビジネス

マスク氏資産、初の7000億ドル超え 巨額報酬認め

ワールド

米、3カ国高官会談を提案 ゼレンスキー氏「成果あれ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 2
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 3
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリーズが直面した「思いがけない批判」とは?
  • 4
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦…
  • 5
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 6
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 7
    週に一度のブリッジで腰痛を回避できる...椎間板を蘇…
  • 8
    「信じられない...」何年間もネグレクトされ、「異様…
  • 9
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 10
    「何度でも見ちゃう...」ビリー・アイリッシュ、自身…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 9
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 10
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中