最新記事

ポーランド

欧州最大の陸軍大国を目指すポーランド

This NATO Ally is Building Strongest Army After Ukraine: Military Analyst

2023年3月27日(月)18時22分
ニック・モドワネック

アメリカが動かないならポーランドが動く?(2022年12月、ワルシャワを訪問したバイデン米大統領とポーランドのドゥダ大統領) Andrew Kelly-REUTERS

<ウクライナが負けそうになってもNATOが動かない場合を想定し、ポーランドは軍備増強を進めている。だがいざというときポーランド軍は本当にロシアと戦えるのか?>

ロシアがウクライナでさらに攻勢を強める場合、NATOの盾になるのはポーランドかもしれない──軍事アナリストのハンス・ペッター・ミットゥンがそんな説を主張している。

ミットゥンは22日、ウクライナの英字紙キーウ・ポストに論説を発表。ウクライナにおけるロシアの「特別軍事作戦」は13カ月目を迎えるが、現状では、NATO内の意見の相違、ポーランドの武器備蓄の増加、東欧をよく知ることなどから、ポーランドが重要な存在になる、と論じた。

「肝心なのは、ポーランドはNATOの最近の戦略構想に従って考え、計画し、行動しているということだ」とミットゥンは書いている。「ポーランドは軍事力を増強しているが、それは、アメリカやNATOがやらないことを、必要であればやるためだ。つまり、ヨーロッパの安全保障と安定を脅かす戦争を止めるために、ウクライナ軍と一緒に戦うことを厭わない」

ポーランドは、ウクライナ軍への武器や戦闘機の提供と同時に、自国の国境を守ることにも力を入れている。マリウシュ・ブラスチャク国防相は最近、年内にロシアのカリーニングラード地方との国境付近にアメリカの高機動ロケット砲システム(HIMARS=ハイマース)を配備することを明らかにした。

ウクライナに軍事支援をしたポーランドが、ロシア軍の標的にされないための自衛策だ。

踏み切った戦闘機支援

ポーランドのマリウシュ・カミンスキー内相は先日、ウクライナへの軍用品および援助物資の供給を妨害するロシアの陰謀に加担した容疑で、「東部国境を越えた外国人」6人を告発したことを発表した。

ロシアのウクライナ侵攻が始まった頃も、ロシアのスパイとされる人物がポーランドで逮捕され、ロシア政府のためにNATO軍の情報を収集した罪で起訴されている。

またポーランドのアンドレイ・ドゥダ大統領は3月16日、ソ連製ミグ29戦闘機4機をウクライナに「数日以内に」供与すると発表した。スロベキアもミグ戦闘機13機を提供することになっており、両国はウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領による防空支援強化の要請に応えた形だ。

一方アメリカは、戦闘機供与には躊躇している。ジョー・バイデン大統領はウクライナ側の要求に応じず、代わりに豊富な武器、弾薬、大砲や防衛システムを提供することを選んだ。

ポーランドのヤン・エメリク・ロシュチシェフスキ駐仏大使は26日、フランスのテレビ局LCIに、「これまで以上に圧力が高めているのは、NATOでもポーランドでもスロバキアでもなく、ロシアだ」と語った。

彼はロシアによるウクライナ領土の占領、ウクライナ人殺害、ウクライナ人児童誘拐などに触れ、特に児童誘拐容疑では、ハーグの国際刑事裁判所がプーチン大統領に逮捕状を出したことを指摘した。

ウクライナ情勢

ワグネル、ウクライナ戦闘参加の元囚人5000人超を契約満了で釈放

2023年3月27日(月)11時43分
ワグネルの創設者エフゲニー・プリゴジン

ロシア民間軍事会社ワグネルの創設者エフゲニー・プリゴジン氏(写真)は25日、ウクライナで戦闘を行う同社との契約が満了した犯罪者5000人超が釈放されたと明らかにした(2023年 Concord Press Service/via REUTERS)

ロシア民間軍事会社ワグネルの創設者エフゲニー・プリゴジン氏は25日、ウクライナで戦闘を行う同社との契約が満了した犯罪者5000人超が釈放されたと明らかにした。

本文を読む
ウクライナ情勢

重戦車が不足するロシア、ウクライナ東部バフムトへの攻撃が減少

2023年3月27日(月)10時55分
廃墟となったバフムトの街を歩く男性

ウクライナ軍のザルジニー総司令官は、東部の要衝バフムトとその周辺におけるロシアの攻勢を何とか阻止し、状況は安定しつつあると述べた。バフムトで2月撮影(2023年 ロイター/Alex Babenko)

ウクライナ軍のザルジニー総司令官は25日、東部の要衝バフムトとその周辺におけるロシアの攻勢を何とか阻止し、状況は安定しつつあると述べた。

本文を読む
ロシア

話題のプーチン「アゴ写真」に重大な誤り...それでも「最低3人」と根強い「影武者」説

2023年3月25日(土)08時00分
ブレンダン・コール
ウラジーミル・プーチン大統領

マリウポリを訪問したプーチン(3月19日) Kremlin.ru/Handout via REUTERS

<「プーチンは影武者を使っている」の是非をめぐる議論が再燃する発端となったツイートには誤りが。それでも疑惑は繰り返し浮上する>

本文を読む
兵器

「次は馬で出撃か?」 戦車不足のロシア、1940年代の戦車を展開して嘲笑される

Russia Mocked for Rolling Out T-54 Tanks From 1940s: 'What Next, Horses?'

2023年3月24日(金)18時10分
ブレンダン・コール
アフガニスタン紛争で使われたT-54戦車

アフガニスタン紛争で北部同盟によって使われたT-54戦車(2001年11月) Yannis Behrakis-Reuters

<ウクライナで戦争が始まってから、1871台のロシアの戦車が破壊、損傷、放棄、または捕獲されているという>

本文を読む
兵器

【写真】一体いまは何年なんだ? ネットで嘲笑されたロシア戦車、実際の輸送の様子

Russia Mocked for Rolling Out T-54 Tanks From 1940s: 'What Next, Horses?'

2023年3月24日(金)14時13分
ブレンダン・コール

@CITeam/telegram

<ウクライナで戦争が始まってから、1871台のロシアの戦車が破壊、損傷、放棄、または捕獲されているという>

本文を読む

ニュース速報

ビジネス

銀行・信金の貸出平残、5月は前年比+3.4% 20

ワールド

IMF、今年のサウジ成長率を2.1%に下方修正 原

ビジネス

日経平均は続落で寄り付く、利益確定売り 押し目買い

ビジネス

米キャンベル、2─4月期は実質利益が予想上回る 通

MAGAZINE

特集:最新予測 米大統領選

2023年6月13日号(6/ 6発売)

トランプ、デサンティス、ペンス......名乗りを上げる共和党候補。超高齢の現職バイデンは2024年に勝てるのか

メールマガジンのご登録はこちらから。

人気ランキング

  • 1

    「中で何かが動いてる」と母 耳の穴からまさかの生き物が這い出てくる瞬間

  • 2

    【動画・閲覧注意】15歳の女性サーファー、サメに襲われ6針縫う大けがを負う...足には生々しい傷跡

  • 3

    ウクライナの二正面作戦でロシアは股裂き状態

  • 4

    性行為の欧州選手権が開催決定...ライブ配信も予定..…

  • 5

    ワグネルは撤収と見せかけてクーデーターの機会を狙…

  • 6

    自社株買いでストップ高!「日本株」の評価が変わり…

  • 7

    プーチンは体の病気ではなく心の病気?──元警護官が…

  • 8

    いま株価が上昇するのは「当たり前」...株高の「現実…

  • 9

    「ダライ・ラマは小児性愛者」 中国が流した「偽情報…

  • 10

    メーガン妃が「絶対に誰にも見られたくなかった写真…

  • 1

    ロシアの「竜の歯」、ウクライナ「反転攻勢」を阻止できず...チャレンジャー2戦車があっさり突破する映像を公開

  • 2

    「中で何かが動いてる」と母 耳の穴からまさかの生き物が這い出てくる瞬間

  • 3

    「日本ネット企業の雄」だった楽天は、なぜここまで追い込まれた? 迫る「決断の日」

  • 4

    「ダライ・ラマは小児性愛者」 中国が流した「偽情報…

  • 5

    米軍、日本企業にTNT火薬の調達を打診 ウクライナ向…

  • 6

    敗訴ヘンリー王子、巨額「裁判費用」の悪夢...最大20…

  • 7

    【ヨルダン王室】世界がうっとり、ラジワ皇太子妃の…

  • 8

    ワグネルは撤収と見せかけてクーデーターの機会を狙…

  • 9

    どんぶりを余裕で覆う14本足の巨大甲殻類、台北のラ…

  • 10

    【画像・閲覧注意】ワニ40匹に襲われた男、噛みちぎ…

  • 1

    【画像・閲覧注意】ワニ40匹に襲われた男、噛みちぎられて死亡...血まみれの現場

  • 2

    カミラ妃の王冠から特大ダイヤが外されたことに、「触れてほしくない」理由とは?

  • 3

    「ぼったくり」「家族を連れていけない」わずか1年半で閉館のスター・ウォーズホテル、一体どれだけ高かったのか?

  • 4

    F-16がロシアをビビらせる2つの理由──元英空軍司令官

  • 5

    築130年の住宅に引っ越したTikToker夫婦、3つの「隠…

  • 6

    歩きやすさ重視? カンヌ映画祭出席の米人気女優、…

  • 7

    「飼い主が許せない」「撮影せずに助けるべき...」巨…

  • 8

    世界がくぎづけとなった、アン王女の麗人ぶり

  • 9

    預け荷物からヘビ22匹と1匹の...旅客、到着先の空港…

  • 10

    キャサリン妃が戴冠式で義理の母に捧げた「ささやか…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story

MOOK

ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中