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「世界的指導者」ゼレンスキー大統領に立ちはだかる、もう1つの敵「米議会共和党」との「消耗戦」

VOLODYMYR ZELENSKY

2023年12月21日(木)13時58分
グレン・カール(本誌コラムニスト、元CIA工作員)
ウォロディミル・ゼレンスキー大統領

ウォロディミル・ゼレンスキー大統領 UKRAINIAN PRESIDENTIAL PRESS SERVICEーREUTERS

<いまや世界でもっとも英雄的な政治家となったウォロディミル・ゼレンスキー大統領。アメリカによるウクライナ支援を阻止しようとする「超ポピュリスト」との闘いの行方。本誌「ISSUES 2024」特集より>

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領にとって、2024年の最大の戦場の1つは米議会になるだろう。

反民主主義的で、ドナルド・トランプ前米大統領にとことんまで忠誠を誓い、支離滅裂な孤立主義を掲げる十数人の超ポピュリストの共和党議員が、議会の機能を麻痺させ、ウクライナに対する新たな支援も阻止しようとするからだ。

アメリカの支援がなければ、ゼレンスキーとウクライナ軍がロシアとの消耗戦に耐えるのは難しい。なにしろ、ロシアに制圧・占領されている地域を奪還するための戦線は全長1000キロにも及ぶ。

米議会が追加支援にゴーサインを出して、ウクライナ軍がロシア軍に対して質的優位を確保しない限り、ロシアを追い出すのは難しいだろう。

ロシアを倒して占領地を取り戻さなければ、ウクライナは国も国民もロシアに滅ぼされると人々は考えており、ゼレンスキーを強く支持している。

実際、ゼレンスキーはウクライナの人々が驚異的な結束を示して、ロシアの侵攻を食い止めている立役者であり、24年も英雄的なリーダーであり続ける可能性が高い。

しかし、ロシアも23年に戦時経済体制に移行して「本気」になってきたし、そもそもウクライナの3倍以上の人口を持つ。

戦争が3年目に入り、ますます多くの遺体が戦場から戻ってくるなか、24年はプーチンとゼレンスキーの意志、そしてロシア、ウクライナ両社会の耐久性が試されることになりそうだ。

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