最新記事
ロシア

衛星画像に映ったロシア軍の「拷問穴」らしきものと使い道

Satellite Photos Appear to Show Russia's 'Torture Pits' for Unruly Troops

2023年10月25日(水)18時10分
イザベル・ファン・ブリューゲン

軍事訓練場を視察するメドベージェフ前大統領(10月5日、ウラヤノフスク) Sputnik/Yekaterina Shtukina/REUTERS

<どんな荒くれ者もこの穴で数日過ごせば更正するというが>

<衛星画像>軍事訓練場に掘られた拷問穴らしき穴

ロシア軍が訓練場につくった「拷問穴」らしきものが衛星画像に映っていた。規律を守れない兵士たちを入れるために掘られた穴だ。

軍事紛争を分析する調査グループ「コンフリクト・インテリジェンス・チーム(CIT)」と、ロシアの調査報道機関「インポータント・ストーリーズ」によれば、この構造物はロシア・ボルゴグラード州プルドボイとオレンブルク州トツキーの村にあるロシア軍の訓練場につくられたものだという。

調査では、ここで訓練を受けたロシアの兵士の発言も引用されている。

「セルゲイ」と呼ばれる元ロシア兵が6月にCITに語ったところによれば、プルドボイの軍事訓練場に「拷問穴」がつくられ、酔っぱらったりドラッグを使ったりしているところを見つかった仲間の兵士数名が送られ、しばらくそこで過ごしたという。

穴から戻るといい子になる

セルゲイは何度も軍を離れ、ウクライナで戦うことを拒否しようとしたが、司令官に脅されたという。憲兵に殴られるぞ、食べ物も水も抜きで「穴」に入ることになるぞ、と繰り返し脅された、とセルゲイは話している。

セルゲイの仲間のうち、規則に従わなかった兵士の数名は、その穴で数日から1週間を過ごし、食事は1日1回だった。医療は受けられず、1人は穴で拘束されたあと、そのまま死亡したという。

「穴から戻ってきた人たちは、もう騒いだりしなくなり、すべてに怯えていた」とセルゲイは語っている。

インポータント・ストーリーズとCITは、死んだ人がいる、とするこの元兵士の話の裏づけはとれなかったと述べている。

8月の衛星画像では、テント野営地からそう遠くない地面に、ふたつの深い「穴」が見られ、セルゲイの証言と一致する。4月の衛星画像では、この穴は見られず、2023年4月から8月のあいだに掘られたことがうかがえる。

 

対談
為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 セカンドキャリアの前に「考えるべき」こととは?
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

ドイツ輸出、5月は予想以上の減少 米国向けが2カ月

ビジネス

旧村上ファンド系、フジ・メディアHD株を買い増し 

ワールド

赤沢再生相、米商務長官と電話協議 「自動車合意なけ

ビジネス

日経平均は反発、対日関税巡り最悪シナリオ回避で安心
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:大森元貴「言葉の力」
特集:大森元貴「言葉の力」
2025年7月15日号(7/ 8発売)

時代を映すアーティスト・大森元貴の「言葉の力」の源泉にロングインタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に...「曾祖母エリザベス女王の生き写し」
  • 2
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 3
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」だった...異臭の正体にネット衝撃
  • 4
    アリ駆除用の「毒餌」に、アリが意外な方法で「反抗…
  • 5
    「ヒラリーに似すぎ」なトランプ像...ディズニー・ワ…
  • 6
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコ…
  • 7
    米テキサス州洪水「大規模災害宣言」...被害の陰に「…
  • 8
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 9
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 10
    中国は台湾侵攻でロシアと連携する。習の一声でプー…
  • 1
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 2
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコに1400万人が注目
  • 3
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸せ映像に「それどころじゃない光景」が映り込んでしまう
  • 4
    【クイズ】「宗教を捨てる人」が最も多い宗教はどれ?
  • 5
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 6
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 7
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚…
  • 8
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」…
  • 9
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に..…
  • 10
    アリ駆除用の「毒餌」に、アリが意外な方法で「反抗…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 4
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 5
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 8
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 9
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 10
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中