最新記事
ウクライナ戦争

アメリカがウクライナを見捨てる日...米大統領選が戦争の結果に影響か?

THE WAR OVER THE UKRAINE WAR

2023年10月25日(水)14時30分
ダニエル・ブッシュ(本誌ホワイトハウス担当記者)、マイケル・ワシウラ(在ウクライナ本誌記者)

231031p42_BUN_02.jpg

旧ソ連製ロケット砲から弾薬を降ろすウクライナ兵 LAUREL CHORーSOPA IMAGESーLIGHTROCKET/GETTY IMAGES

今回の戦争へのバイデンの対応は支援継続に対する「議会超党派の支持を台無しにしている」と、共和党のマイケル・マコール下院外交委員長は言う。「極めて重要な兵器システムの提供の遅さは紛争を長引かせるばかりか、中国共産党のような敵に弱さを示してもいる」

共和党主流派の候補者であるペンス、ニッキ・ヘイリー元米国連大使、ティム・スコット上院議員、クリス・クリスティー前ニュージャージー州知事という穏健派4人も、欧米の強固なウクライナ支援の継続を求めてきた。だが支持率は全員1桁で低迷し、大半の調査で4人合わせて15%未満だった。対するトランプは、ほとんどの調査で支持率50%超とトップ。彼以外で常に10%を超えている候補はデサンティスだけだ。

問われる戦闘継続の条件

今のところ、来年の大統領選で政権交代が実現すれば、ホワイトハウスの次の主人はウクライナ問題に関してバイデンと異なった、そして米主流派とは懸け離れた意見の持ち主になる可能性が高い。

だがトランプの返り咲きは早期の戦争終結を意味するとは限らないと指摘するのは、トランプ前政権でNSCのウクライナ担当を務め、いわゆる「ウクライナ疑惑」をめぐってトランプの1度目の弾劾訴追につながる証言をしたアレクサンダー・ビンドマン元米陸軍中佐だ。

「ウクライナは、力が続く限り戦闘を続けるしかない」と、ビンドマンは本誌に語った。「アメリカが孤立主義に転換し、ウクライナにもう1ドルの支援も行わないとしても」その点は変わらないはずだという。

25年以降もウクライナが国を守る戦いを継続するには、これまでと同じレベルの支援を、別の形で獲得することが必要になるかもしれない。

専門家らが言うとおり、政権を率いるのがトランプなら、バイデンのように国際的なウクライナ支援体制をまとめ上げるとは思えない。だが米戦略国際問題研究所の客員研究員で、欧州政策に詳しいマチュー・ドゥロワンに言わせれば、「アメリカ・ファースト」によって欧米関係が冷え込んだ場合、ウクライナの近隣国が役割を拡大する可能性がある。

「アメリカが支援をやめたら、欧州各国に穴埋めができるかどうかはまだ分からない。しかし、少なくともそうしようとする動機はある」

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米肥満薬開発メッツェラ、ファイザーの100億ドル買

ワールド

米最高裁、「フードスタンプ」全額支給命令を一時差し

ワールド

アングル:国連気候会議30年、地球温暖化対策は道半

ワールド

ポートランド州兵派遣は違法、米連邦地裁が判断 政権
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 2
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2人の若者...最悪の勘違いと、残酷すぎた結末
  • 3
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統領にキスを迫る男性を捉えた「衝撃映像」に広がる波紋
  • 4
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    クマと遭遇したら何をすべきか――北海道80年の記録が…
  • 7
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 8
    【銘柄】元・東芝のキオクシアHD...生成AIで急上昇し…
  • 9
    なぜユダヤ系住民の約半数まで、マムダニ氏を支持し…
  • 10
    長時間フライトでこれは地獄...前に座る女性の「あり…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 5
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 6
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 7
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 8
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 9
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 10
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 9
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 10
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中