最新記事
ウクライナ戦争

アメリカがウクライナを見捨てる日...米大統領選が戦争の結果に影響か?

THE WAR OVER THE UKRAINE WAR

2023年10月25日(水)14時30分
ダニエル・ブッシュ(本誌ホワイトハウス担当記者)、マイケル・ワシウラ(在ウクライナ本誌記者)

231031p42_BUN_05.jpg

前回大統領選でのバイデンとトランプの討論会(2020年10月) JIM BOURGーPOOLーREUTERS

トランプは7月のFOXビジネスのインタビューでウクライナ問題について発言。「私ならゼレンスキーに『もう援助しない、取引しろ』と言い、プーチンには『取引しないとゼレンスキーに多くを与える』と言う。1日で取引成立だ」と明言した。

しかしトランプは具体的なことは語らず、デサンティスの考えはそれ以上に不明だ。今年3月、FOXニュースのタッカー・カールソンが共和党の大統領選の候補者らに送った質問状へのデサンティスの回答は、ウクライナ戦争に総じて無関心であることをうかがわせた。

カールソンは各候補の回答をツイッター(現X)に投稿。デサンティスはウクライナとロシアの領土争いへの関与を深めることはアメリカの大きな国益にはならないと回答していた(彼は10日後に発言を修正。「ロシアが侵攻したのは明白であり、誤りだ」とし、プーチンを「戦犯」と呼んだ)。

共和党は「トランプ一強」状態

共和党の極右議員も、アメリカがウクライナ問題に関与することをますます公然と軽視するようになっている。下院では7月、共和党議員89人がウクライナへの軍事支援を3億ドル削減する予算修正案に賛成票を投じた。それとは別に、今後ウクライナに対する全ての軍事援助を停止する案には共和党議員70人が賛成票を投じた(いずれも成立せず)。

多くの共和党支持者も、アメリカの対ウクライナ支援は過大だと考えている。ピュー・リサーチセンターの6月の調査では、「過大」と回答した人は共和党支持者と共和党寄りの無党派層では1年前の12%から44%に上昇。一方、民主党支持者と民主党寄りの層ではわずか14%だった。

共和党の孤立主義勢力がアメリカの対ウクライナ援助の削減、ひいては停止への意欲を募らせている状況は、共和党がロシアのウクライナ侵攻に対するバイデンの「弱腰」を非難してきたことと矛盾している。

昨年2月にロシアが侵攻を開始して以来、バイデン政権はウクライナ政府に430億ドルの軍事支援を実施、ウクライナはHIMARS(ハイマース)やパトリオットミサイルなど、より高性能な兵器システムを手にしてきた。ただし、それは何カ月も議論を重ねた末、時にはヨーロッパの同盟国から説得された末だった。

「アメリカは他のNATO加盟国と同じく、ウクライナの主権と領土保全の全面回復を目指しているとバイデン政権は主張する」と、トランプ前大統領の補佐官(国家安全保障担当)を務めたジョン・ボルトンは言う。「問題は、そのために何を提供するかだ」

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米銀のSRF借り入れ、15日は15億ドル 納税や国

ビジネス

オラクル、TikTok米事業継続関与へ 企業連合に

ビジネス

7月第3次産業活動指数は2カ月ぶり上昇、基調判断据

ビジネス

テザー、米居住者向けステーブルコイン「USAT」を
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェイン・ジョンソンの、あまりの「激やせぶり」にネット騒然
  • 3
    腹斜筋が「発火する」自重トレーニングとは?...硬く締まった体幹は「横」で決まる【レッグレイズ編】
  • 4
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 5
    ケージを掃除中の飼い主にジャーマンシェパードがま…
  • 6
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 7
    電車内で「ウクライナ難民の女性」が襲われた驚愕シ…
  • 8
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 9
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 10
    「この歩き方はおかしい?」幼い娘の様子に違和感...…
  • 1
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 2
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 3
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 4
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 5
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 6
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 7
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    埼玉県川口市で取材した『おどろきの「クルド人問題…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 10
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中