最新記事
新型ドローン

迂闊に近づくと死ぬ!ロシア西部に降るウクライナの「自己破壊ドローン」

'Air Regiment Leaders' Killed as Drone Self-Destructs on Russian Airfield

2023年9月27日(水)13時37分
ブレンダン・コール

ドローンを飛ばすウクライナ兵士(8月17日、南部ザポリージャ州) REUTERS/Viacheslav Ratynskyi

<滑走路に降りた一見無害なドローンを調べようと近づいたロシア空軍の人員に、将校を含む死者が出た。ウクライナの新たな戦術に気をつけろと、ロシアが警戒を高めている>

【動画】米、ロシアの「あおり運転」戦闘機によるドローン衝突の映像公開

ロシア空軍の飛行場に着陸したウクライナ軍のドローンが、何も悪さをしないので野次馬が調べに集まったところで自己爆発した。巻き込まれた犠牲者の中には、ロシア軍の将校たちも含まれていたと報じられている。

ウクライナ情報機関関係者の話によると、ロシア西部の町クルスクから約8キロの距離にあるハリノ空軍基地の滑走路で、ドローンが爆発したという。この基地には、ロシア空軍の第14親衛戦闘機航空連隊が駐留し、スホーイSu-30SM戦闘機も配備されている。

ウクライナのドローンが滑走路に一見「安全に」着陸したのを見て、ロシア空軍およびロシアの諜報機関であるロシア連邦保安庁(FSB)の将校たちが近づいてきた、とウクライナのメディア「RBCウクライナ」は9月25日に伝えた。

「彼らが思わぬ『戦利品』を検分しようとしたところで、ドローンが爆発した」と、ウクライナ側の情報筋はRBCに伝えた。犠牲者の中には「航空連隊の指揮官たち」も含まれていたという。

RBCの報道によると、この爆発で死亡あるいは負傷した者の中には、第14航空連隊の司令官、副司令官の1人、複数名の空軍将校、FSBの将校1人、空港職員1人が含まれていた。

発見して40分後に爆発した例も

ロシアの軍事ブロガー、ボリス・ロジンはテレグラムへの投稿で、ハリノ空軍基地に「サプライズ無人機」が着陸し、「死者」が出たと報告している。

「これまでも、敵は同様の戦術を用いてきた」とロジンは指摘。すでに複数のドローンが着陸後に爆破処理されているとした上で、「敵軍のドローンは慎重に取り扱わなければならない」と述べた。

ロシア治安当局系列のテレグラム・チャンネル「バザ」も、最近になって同様の攻撃を報告している。9月16日には、モスクワの南にあるヴォロネジ州の農場に飛来したドローンが着地した後爆発したと伝えた。

バザは、ロシア国防省が「テロ攻撃の道具」と呼ぶこのドローンが、バス停近くの農地に落ちている画像を複数投稿した。またクルスク州の町リゴフにある、今は使われていない給油施設の近くで発見されたドローンは「40分後」に爆発したと述べている。

「ウクライナ軍は、自己破壊するドローンを放ち始めた」と、バザは警告した。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

イラン、カタールの米空軍基地に報復攻撃 米国に事前

ワールド

ウクライナ・英首脳が会談、軍事共同生産構想を発表

ビジネス

関税の影響「予想より軽微」、利下げにつながる可能性

ビジネス

米総合PMI、6月は52.8に低下 製造業の投入価
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本のCEO
特集:世界が尊敬する日本のCEO
2025年7月 1日号(6/24発売)

不屈のIT投資家、観光ニッポンの牽引役、アパレルの覇者......その哲学と発想と行動力で輝く日本の経営者たち

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々と撤退へ
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    飛行機内で「最悪の行為」をしている女性客...「あり得ない!」と投稿された写真にSNSで怒り爆発
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ホルムズ海峡の封鎖は「自殺行為」?...イラン・イス…
  • 6
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測…
  • 7
    EU、医療機器入札から中国企業を排除へ...「国際調達…
  • 8
    「イラつく」「飛び降りたくなる」遅延する飛行機、…
  • 9
    イランとイスラエルの戦争、米国より中国の「ダメー…
  • 10
    【クイズ】次のうち、中国の資金援助を受けていない…
  • 1
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 2
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の「緊迫映像」
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    イタリアにある欧州最大の活火山が10年ぶりの大噴火.…
  • 8
    ホルムズ海峡の封鎖は「自殺行為」?...イラン・イス…
  • 9
    飛行機内で「最悪の行為」をしている女性客...「あり…
  • 10
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊の瞬間を捉えた「恐怖の映像」に広がる波紋
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 5
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 6
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 7
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 8
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 9
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 10
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中