最新記事
奇襲作戦

夜間ゴムボートでロシア軍司令部を奇襲、川から脱出するウクライナ部隊のスキルに称賛

Ukrainians on Rubber Boat Destroy Russian Command Post in Night Raid Video

2023年8月9日(水)19時58分
ブレンダン・コール

ウクライナ東部の要衝バフムトの前線を移動するウクライナ兵(7月26日) Courtesy of 3rd Assault Brigade/Ukrainian Armed Forces Press Service/REUTERS

<ウクライナ軍が公開した「特別作戦」の動画が話題だ。ゴムボートで川辺のロシア軍司令部に夜襲をかけ、脱出する練度がただごとではない>

ウクライナ軍は、劇的な動画を公開した。ウクライナ南部占領地のロシア軍司令部に対する攻撃とされるものだ。

<動画>夜ゴムボートで上陸・奇襲し、離脱するウクライナ部隊

夜に撮影されたこの動画は、フロマドスケ・スタグナ大隊のテレグラムチャンネルで公開され、共有された。岸辺で爆発が起き、炎が上がるなか、兵士たちがゴムボートに急いで乗り込む姿が映し出されている。

動画の説明には、「ヘルソン州の占領地における特別作戦」と書かれている。「『スタグナ』隊の戦闘員が、別部隊の兵士とともに、占領軍の司令部を破壊し、敵人員の大部分を排除することに成功した」

この動画は独自に検証されたものではなく、正確な場所や日付も不明だが、2分44秒の動画は、ドニプロ川からヘルソンを脱出する兵士たちだという。

兵士たちは、銃声と怒号が飛び交うなか急いでボートに飛び乗り、人数を数える声が聞こえる。

「全員そろった。行こう」と一人が言い、ボートは岸を離れる。

ボートに乗った兵士たちと岸にいる部隊との銃撃戦は、動画の最後まで続く。

ボートからの射撃は猟師でも難しい

この動画はレディットで活発な議論を巻き起こした。ウクライナの部隊はその行動を称賛され、夜間射撃を見えにくくするため、消炎器(フラッシュサプレッサー)を使っていることが評価された。消炎器は、銃身の先端に装着し、発火炎(マズルフラッシュ)の発生を抑制する装置だ。

あるレディットユーザーは、「私は猟をするので、ボートからの射撃がどれほど不安定か知っている。それも、平和な状況下での話だ」と書いている。

スタグナ隊は、2014年にロシアがクリミア半島を掌握して以来、ロシア軍と戦ってきた義勇軍の退役軍人で構成されている。

スタグナ隊のウェブサイトには、「我が部隊には、重要なときに平和な暮らしを捨て、祖国のために身を捧げた兵士たちがいる」と書かれている。

ロシア占領地の奪還を目指すウクライナの反攻は3カ月目に入っており、ロシアはウクライナの都市を標的に爆撃を続けている。

ウクライナ内務省によれば、8月7日夜、ドネツク州ポクロウシクを標的とするロシアの攻撃で、少なくとも7人が死亡し、67人が負傷した。負傷者の中には、子ども2人、警官29人、救急隊員7人が含まれていた。

ポクロウシクの中心部が攻撃を受け、アパート、民家、ホテル、レストラン、商店、役所が被害を受けた。

また、同じく7日夜、ロシア軍がハルキウ州クピャンスク近郊にある村に4発の誘導爆弾を投下し、民間人2人が死亡、7人が負傷した、と同州のオレグ・シネグボウ知事(翻訳:ガリレオ)

日本
【イベント】国税庁が浅草で「伝統的酒造り」ユネスコ無形文化遺産登録1周年記念イベントを開催。インバウンド客も魅了し、試飲体験も盛況!
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

オランダ企業年金が確定拠出型へ移行、長期債市場に重

ワールド

シリア前政権犠牲者の集団墓地、ロイター報道後に暫定

ワールド

トランプ氏、ベネズエラ麻薬積載拠点を攻撃と表明 初

ワールド

韓国電池材料L&F、テスラとの契約額大幅引き下げ 
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 2
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と考える人が知らない事実
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    「すでに気に入っている」...ジョージアの大臣が来日…
  • 5
    「サイエンス少年ではなかった」 テニス漬けの学生…
  • 6
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 7
    【銘柄】子会社が起訴された東京エレクトロン...それ…
  • 8
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 6
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 7
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 8
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 9
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 10
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 5
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中