最新記事
ロシア

プーチン、反乱から身を守るために私兵の「国家親衛隊」を戦車や戦闘ヘリで再武装

Putin Reinforces Rosgvardia Troops With Heavy Armor After Wagner Coup

2023年8月9日(水)17時42分
エリー・クック

国家親衛隊トップのビクトル・ゾロトフとメンバーたち(6月27日、赤野広場で反乱収拾後のプーチンの演説を待つ) Sputnik/Sergei Guneev/REUTERS

<民間軍事会社ワグネルの武装反乱の後、プーチンはみずから創設した大統領直属の国家親衛隊に重火器を与え、強化を図っているようだ>

新たな情報分析によれば、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、6月に起きた民間軍事会社ワグネル傭兵部隊の反乱の後、大統領直属のロシア国家親衛隊の強化を図り、「重火器」で武装させるようだ。

<動画>こんなプーチンの姿は見たことない! プーチンが女学生に優しくキスをする瞬間

英国防相が8月8日に発表した新情報によれば、プーチンは8月4日、国家親衛隊として知られるロシア政府直属の部隊に戦車や攻撃ヘリコプターを含む重火器を供給する新たな措置を導入した。

国家親衛隊を武装強化する動きが明らかになったのは、6月23日〜24日にかけてのワグネルの反乱の後だった、と同省は付け加えた。

ワグネルの反乱は短期間で終わったが、劇的だった。ワグネルを創設した新興財閥(オリガルヒ)エフゲニー・プリゴジンが指揮する部隊はロシア南部の都市ロストフナドヌーを占拠した後、モスクワに向かって進軍を始めた。だが、ベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ大統領が仲介したとみられる取引により、反乱は中止された。そして現在、多くのワグネルの戦闘員がベラルーシに拠点を置いている。

ワグネルが提供する傭兵部隊は、ロシア政府にとって都合のいい存在だった。部隊は2023年5月下旬まで、ウクライナ東部で最も激しい戦闘に参加していた。

政権の安全確保をめざす

反乱を中止したワグネルは、2000以上の軍事装備、2500トン以上の弾薬、20000丁を越える小火器を引き渡したとロシア国防省は7月中旬に発表した。ただし、この数字は第三者機関によって検証されていない。

「反乱の後、ロシア軍はワグネルの武器と重装備を押収した」と、リトアニア国防省の広報官は7月下旬に本誌に伝えた。「重火器と戦闘装甲車がなければ、この部隊は非常に限られた任務しか遂行できない」

8月4日のプーチンの発表を受けて、国家親衛隊はまもなく重火器を受け取ることになるが、英国防省はこの措置はワグネルの反乱と直接関係があると見ている。

2016年に創設された国家親衛隊はプーチンの「私兵」と呼ばれており、正式にはロシア軍と関係がない。大統領に直接報告する機関となっており、プーチンの護衛を務めていたビクトル・ゾロトフが率いている。国家親衛隊を創設した大統領令によれば、この部隊は「国家と公共の安全を確保し、人間と市民の権利と自由を守る」ために存在する。

英国防省は、国家親衛隊は「最大20万人の兵員を擁する大規模な組織」であり、重火器を装備することで、ロシア政府が「政権の安全を確保する重要な組織の一つとして、国家親衛隊への資金供給を倍増させる」可能性があると付け加えた。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

アングル:中国がバングラとの関係強化、インドの影響

ビジネス

米国株式市場=S&P・ナスダック反落、軟調な経済指

ワールド

米、イラン産原油積載タンカー拿捕を検討 圧力強化へ

ビジネス

米フォード、第4四半期は111億ドルの最終赤字 E
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:習近平独裁の未来
特集:習近平独裁の未来
2026年2月17日号(2/10発売)

軍ナンバー2の粛清は強権体制の揺らぎか、「スマート独裁」の強化の始まりか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 2
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...周囲を気にしない「迷惑行為」が撮影される
  • 3
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トランプには追い風
  • 4
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を…
  • 5
    崖が住居の目の前まで迫り、住宅が傾く...シチリア島…
  • 6
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 7
    変わる「JBIC」...2つの「欧州ファンド」で、日本の…
  • 8
    衆院選で吹き荒れた「サナエ旋風」を海外有識者たち…
  • 9
    【銘柄】「ソニーグループ」の株価が上がらない...業…
  • 10
    台湾侵攻を控えるにもかかわらず軍幹部を粛清...世界…
  • 1
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた実験室」に...抗生物質の「不都合」な真実とは
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 4
    がんの約4割は、日々の取り組みで「予防可能」...予…
  • 5
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...…
  • 6
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近した…
  • 7
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染…
  • 8
    グラフが示す「米国人のトランプ離れ」の実態...最新…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    台湾発言、総選挙...高市首相は「イキリ」の連続で日…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 4
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 7
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 8
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 9
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
  • 10
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中