最新記事
2024米大統領選

「世界を変える」2024年米大統領選...勝者は誰か?

THE WINNER OF 2024

2023年6月9日(金)14時30分
サム・ポトリッキオ(本誌コラムニスト、ジョージタウン大学教授)

230613p18_HNK_02.jpg

空軍士官学校の卒業式でつまずいて起こされるバイデン(6月1日) AP/AFLO

そこには、バイデンがアメリカ男性の平均寿命を上回る高齢である事実が反映されている。6月1日、バイデンが空軍士官学校の卒業式の壇上で転倒すると、その動画を共和党陣営は攻撃材料として拡散させた。ロシアのサイバー戦部隊が手を貸した形跡もある。バイデン勝利の確率が下がってもおかしくない。

中ロはバイデン再選を望まず

一方でバイデンは、外交面で巧妙に立ち回っている。第2次大戦後初めて自国の領土を攻撃されたロシアでは、ウラジーミル・プーチン大統領の政権が存続の危機に立たされている。ロシア国家自体の存続も、トランプが大統領に返り咲くか否かに懸かっているかもしれない。

20年の大統領選に際し、ロシアの陰湿な介入が結果を左右する可能性はあるかと問われたとき、筆者は、トランプ嫌いの中国も動いているからロシアの影響力は相殺されるだろうと楽観的な見通しを示した。

しかし今は、中国から見るとバイデンのほうがトランプより嫌な相手であることが明らかになった。ウクライナでロシアが苦戦を強いられているのも、最大の友好国たる中国にとっては都合が悪い。こうなるとロシアと中国の思惑は一致する。だから前回に比べて、今度の大統領選では外国からの介入が大きな脅威となる可能性を否定できない。

一方で、そんな脅威の存在こそバイデンが次期大統領の「最有力候補」と呼ばれるにふさわしい証拠だとも言える。中国もロシアもバイデンの続投を望んでいないとすれば、それは現在のアメリカが彼らにとって最大の脅威となっているからだ。

現時点の世論調査で、アメリカは正しい方向に進んでいると考える国民は22%しかいない。だがアメリカにとっての二大敵国がバイデンに不利な動きを起こそうとしている事実を知れば、さすがの国民も自国の強さへの否定的な見方を改めるだろう。

歴史的に見ても、現職大統領が敗北した例はめったにない。現職が負けるのは、たいてい1期目で「弱い指導者」のレッテルを貼られた場合だ。また与党支持者の投票率が前回に比べて大幅に下がってしまうと、後継候補は勝てない(アル・ゴア元副大統領やヒラリー・クリントン元国務長官がそうだった)。

トランプが望むのは、共和党の予備選に名乗りを上げる候補者が増え続けることだ。そうなれば党内の反トランプ票が分散することになる。共和党の支持層には、たとえトランプ自身が20年の選挙結果を盗もうとした事実やプーチンとの共謀を認めたとしても、絶対に彼を見捨てない有権者がいる。数は多くないが、無視できるほど少なくはない。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

ブラックストーン最大のHF事業、昨年リターンは12

ワールド

ローマ教皇、世界の反ユダヤ主義収束訴え ホロコース

ビジネス

現代自、第4四半期は営業利益40%減 米関税が打撃

ビジネス

再送トヨタの25年世界販売、6年連続の首位 北米好
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:高市 vs 中国
特集:高市 vs 中国
2026年2月 3日号(1/27発売)

台湾発言に手を緩めない習近平と静観のトランプ。激動の東アジアを生き抜く日本の戦略とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界でも過去最大規模
  • 3
    町長を「バズーカで攻撃」フィリピンで暗殺未遂、大胆な犯行の一部始終を捉えた「衝撃映像」が話題に
  • 4
    パキスタン戦闘機「JF17」に輸出交渉が相次ぐ? 200…
  • 5
    スペースXの宇宙飛行士の帰還が健康問題で前倒しに..…
  • 6
    秋田県は生徒の学力が全国トップクラスなのに、1キロ…
  • 7
    一人っ子政策後も止まらない人口減少...中国少子化は…
  • 8
    人民解放軍を弱体化させてでも...習近平が軍幹部を立…
  • 9
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 10
    またTACOった...トランプのグリーンランド武力併合案…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 3
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡張に新たな対抗手段
  • 4
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 5
    データが示す、中国の「絶望的な」人口動態...現実味…
  • 6
    ラブロフ、グリーンランドは‌デンマーク​の「自然な…
  • 7
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 8
    【銘柄】「古河機械金属」の株価が上昇中...中国のレ…
  • 9
    一人っ子政策後も止まらない人口減少...中国少子化は…
  • 10
    スペースXの宇宙飛行士の帰還が健康問題で前倒しに..…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 6
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 7
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 8
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 9
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
  • 10
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中