最新記事
2024米大統領選

「世界を変える」2024年米大統領選...勝者は誰か?

THE WINNER OF 2024

2023年6月9日(金)14時30分
サム・ポトリッキオ(本誌コラムニスト、ジョージタウン大学教授)

今のトランプは共和党内で押しも押されもせぬ存在だ。予備選でのライバルが増えれば増えるほど、党内の反トランプ勢力は薄められてしまう。来年の春までに裁判でトランプ有罪の評決が出るという想定外の展開にならない限り、トランプは共和党の予備選を勝ち抜けるだろう。

そうであればバイデンとトランプの2度目の対決になる可能性が高い。そしてそれは、バイデンにとって願ってもない展開だ。

民主党のリベラル派は、ますますバイデンに無関心になっており、相手がデサンティスやマイク・ペンス(前副大統領)、クリス・クリスティー(前ニュージャージー州知事)やティム・スコット(現職上院議員)であれば、投票意欲をかき立てられないかもしれない。しかし相手がトランプなら脅威を感じ、冷めてしまった気持ちを奮い立たせて投票所に行くだろう。バイデンがいいとは思わなくても、トランプを落とすためなら一票を投じる。

それでもバイデンが負ける可能性はあるだろうか。あるとすれば、どんな場合か。

20年の大統領選でバイデン陣営が最も恐れていたのは、億万長者で元ニューヨーク市長のマイケル・ブルームバーグが第3の候補として出馬する事態だった。

今回も、銀行界のスーパースターであるJPモルガン・チェースCEOのジェームズ・ダイモンが出馬するという噂がある。大物投資家で億万長者のウィリアム・アックマンは最近のツイッターで、バイデンの「認知力の衰え」を指摘し、「民主党員の70%は彼の出馬を望んでいない」と言い切り、ダイモンを「プッシュ」して出馬を決意させよう、彼ならトランプにもバイデンにも勝てるとあおり立てた。

大金持ち候補に限界あり

230613p18_HNK_03.jpg

出馬が噂されるJPモルガン・チェースCEOのジェームズ・ダイモン EVELYN HOCKSTEINーREUTERS

1992年の大統領選を思い出そう。あのとき無所属で出馬した億万長者のロス・ペローは、途中まで共和党の現職大統領ジョージ・ブッシュと民主党候補のビル・クリントンを支持率で上回っていた。クリントンが制した11月の一般投票でも、ペローは約19%の票を獲得している。

今回のダイモンにも間違いなくカリスマ性がある。バイデンやトランプに比べてディベートに強く、テレビ映りもいい。ただしダイモンはトランプの再登板をアメリカ最大の脅威と見なしており、自分が第3党から出馬すれば中道派の票が割れ、結果としてトランプを利することになると承知している。

もしダイモンが出馬するなら、第3党から出て本選で勝つことを目指すのではなく、民主党の指名争いで現職に勝てるかもしれない候補として歴史に名を残すことを狙うだろう。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、貿易協定後も「10%関税維持」 条件提

ワールド

ロシア、30日間停戦を支持 「ニュアンス」が考慮さ

ビジネス

NY外為市場=ドル、対円・ユーロで週間上昇へ 貿易

ビジネス

米国株式市場=米中協議控え小動き、トランプ氏の関税
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 2
    SNSにはトップレス姿も...ヘイリー・ビーバー、ノーパンツルックで美脚解放も「普段着」「手抜き」と酷評
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    教皇選挙(コンクラーベ)で注目...「漁師の指輪」と…
  • 5
    恥ずかしい失敗...「とんでもない服の着方」で外出し…
  • 6
    骨は本物かニセモノか?...探検家コロンブスの「遺骨…
  • 7
    「金ぴか時代」の王を目指すトランプの下、ホワイト…
  • 8
    ロシア機「Su-30」が一瞬で塵に...海上ドローンで戦…
  • 9
    ついに発見! シルクロードを結んだ「天空の都市」..…
  • 10
    「股間に顔」BLACKPINKリサ、ノーパンツルックで妖艶…
  • 1
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 2
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つの指針」とは?
  • 3
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得る? JAXA宇宙研・藤本正樹所長にとことん聞いてみた
  • 4
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 5
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 6
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 7
    古代の遺跡で「動物と一緒に埋葬」された人骨を発見.…
  • 8
    シャーロット王女とスペイン・レオノール王女は「どち…
  • 9
    野球ボールより大きい...中国の病院を訪れた女性、「…
  • 10
    SNSにはトップレス姿も...ヘイリー・ビーバー、ノー…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 6
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つ…
  • 7
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 8
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中