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アングル:アジアで来年、多数のIPO計画 AIバブル懸念で失速も

2025年12月08日(月)13時02分

世界人工知能会議(WAIC)で見られたAI(人工知能)の看板。2023年7月、中国・上海で撮影。REUTERS/Aly Song

Kane Wu Vibhuti Sharma Yantoultra Ngui

[香港/ムンバイ 5日 ロイター] - インド企業が、投資家の分散投資志向に乗って大型の新規株式公開(IPO)を計画しているため、来年のアジアの株式資本市場(ECM)は活況となりそうだ。ただ、テック企業株の高騰に対する警戒感が、こうした勢いを失速させるとの懸念もある。

LSEGのデータによると、IPOや公募増資、転換社債を含めたアジアのECM案件の総額は今年これまでに2670億ドル(約 41兆1118億円 )に達しており、前年比で15%増え年間ベースで2021年以来初めてプラスとなった。

中国企業の上場先として人気のある香港は地域のECM取引をけん引しており、今年の調達額は750億ドルと昨年の3倍以上で21年以来の高水準となった。

一方、インド企業は今年、IPOにより193億ドルを調達したが、過去最高だった24年の205億ドルから6%減った。このデータには、現在進んでいる電子商取引(EC)企業ミーショーによる6億400万ドルのIPOは含まれていない。

「中国の回復とインドの成長持続が今年のアジア全体の株式発行を推進する二大エンジンとなってきた」とゴールドマン・サックスの日本を除くアジアECM責任者、ジェームズ・ワン氏は述べた。「両市場は26年もアジア地域で案件の中心であり続けるだろう。現在はまだ、広範な上昇局面の初期段階だ(中略)。これはアジアの経済成長と企業収益の改善に支えられている」と語った。

エクイラス・キャピタルの予測によると、インドは26年に最大200億ドルのIPO資金調達が見込まれる。香港は300社以上が上場を申請していることが公表資料で明らかになった。

インドの通信会社リライアンス・ジオ・プラットフォームズのIPOや中国の光通信機器メーカー、中際旭創の香港重複上場のような象徴的な案件が26年の取引量を大きく押し上げる見通しだという。

<米国資産からのシフト>

アジアはトランプ米大統領の通商・地政学的政策を巡る不確実性を背景にここ数カ月間、米国資産から離れて資産配分の分散を求める投資家の世界的な動きから恩恵を受けている。

「米市場が不安定な時期は分散化と構造的な成長を求めて資本がアジアに流れるのをよく目にする」と法律事務所デービス・ポークの日本を除くアジア共同責任者のリー・ヘ氏は述べた。

香港のハンセン指数は今年約30%上昇しており米国の主要指数よりも好調だ。インドのNSE指数も約10.8%上昇している。

この勢いに乗って、中国の電池大手CATL(寧徳時代新能源科技)は香港重複上場で53億ドルを調達し、紫金黄金国際はIPOで35億ドルを調達した。いずれも今年最大級の案件となった。

<バブル懸念>

米国株は11月に数カ月ぶりの大きな価格変動が起きて人工知能(AI)を巡る世界的な上昇相場に亀裂が入り、投機的バブルが崩壊しつつあるのではないかとの疑念が生じた。

こうしてAI関連株価の高騰への警戒感が広がる中、中国の大規模言語モデル開発企業の智譜AIやミニマックス、AIチップメーカーの摩爾線程や昆侖芯(北京)科技などがIPOを計画しており、これらの案件は数十億ドル規模になる可能性があるとロイターは報じた。

フレッシュフィールズ法律事務所のパートナーのアルン・バラスブラマニアン氏は「AIバブルへの懸念が大規模な売りにつながれば、その影響は広がるだろう。大規模な売りは一つのセクターだけにとどまらず市場全体に波及する。それが潜在的なリスクだ」と語った。

リスク回避を志向する投資家はAI関連比率が比較的低いインド市場が魅力的に映る可能性があると、アクシスキャピタルのECM責任者プラティク・ルーンカー氏は述べた。彼は「AI関連の支出や収益見通しが改めて検証されており、投資家は株価収益率(PER)の高い成長株を離れ、質が高くキャッシュを生み出す銘柄にシフトしている」と述べた。

ロイター
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