最新記事

韓国

訪日韓国人急増、「いくら安くても日本に行かない」との回答も一変......その理由は?

2023年2月24日(金)18時30分
佐々木和義

関西空港の長い行列。多くは韓国に帰国する旅行者のように見受けられた 撮影:佐々木和義

<新型コロナウイルス感染症の拡大を抑制する水際措置の緩和を受け、韓国人が大挙して日本を訪れている......>

筆者は旧正月連休の1月22日から29日まで東京や大阪などを訪問した。成田空港の入国審査は、日本人は待ち時間がなかったが、韓国人は入国審査を終えるまで最短でも30分以上要しており、関西空港も長い行列ができていた。

日本政府観光局(JNTO)が2月15日に発表した2023年1月の訪日外国人は推計149万7300人で、コロナ禍前の旧正月に日本を訪れていた中国人が規制の影響から3万1200人にとどまった一方、韓国人は56万5200人と3分の1を占めていた。韓国人の次に多かったのは台湾の25万9300人で、香港の15万9000人が続いている。

日本製品不買運動の余熱が続いた2020年12月に韓国世論調査会社エムブレイントレンドモニターが行ったアンケート調査で、70.1%が日本製品不買運動に参加したと回答、49.9%が「日本は敵対国だ」と回答し、55.7%が「いくら安くても日本に行かない」と答えた。しかし、2022年12月のアンケートで不買運動に参加したという回答は60.0%に減少、「日本は敵対国」という回答も36.1%まで減少し、「日本に行かない」という回答は26.8%まで急減した。

昨年7月にクレジットカード決済大手のビザが行ったアンケートでも1年以内に行きたい観光地の1位は日本だった。

韓国人が大挙して日本を訪れる理由は主に3つある

22年10月11日、日本政府がビザなし渡航を再開すると韓国内で訪日熱が再燃した。通信販売大手インターパークが10月11日から3か月間に販売した日本行き航空券は前年同期の400倍、コロナ禍前の19年と比べても4.8倍に達していた。

Gマーケットが1月1日から17日に販売した国際航空券は大阪便が最も多く、東京、福岡と続いていた。1位から3位を日本路線が占めたのだ。

韓国人が大挙して日本を訪れる理由は主に3つある。格安航空会社LCCの国際航空運賃はコロナ禍前のFSC (フルサービスキャリア)並みと高額で、FSCのエコノミークラスの運賃はコロナ禍前のビジネスクラスと大差ない。距離が近く便数が多い日本便は以前と比べて高額とはいえ、他の国より安価である。

また、昨年から続く円安で、日本旅行費が低下していることも訪日韓国人の増加に拍車をかけている。

医療インフラから日本を選ぶ韓国人も少なくない。前述のビザが行ったアンケートで、旅行先を選ぶ際、医療インフラを重視すると答えた韓国人はコロナ禍前の1.6倍に増えていた。日本に対する否定的な感情が薄らいだことに加えて、費用や安全面から日本を訪れる韓国人が増えているのだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米中貿易枠組み合意、軍事用レアアース問題が未解決=

ワールド

独仏英、イランに核開発巡る協議を提案 中東の緊張緩

ワールド

イスラエルとイランの応酬続く、トランプ氏「紛争終結

ワールド

英、中東に戦闘機を移動 地域の安全保障支援へ=スタ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 2
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 3
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されずに「信頼できない人」を見抜く方法
  • 4
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 5
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 6
    構想40年「コッポラの暴走」と話題沸騰...映画『メガ…
  • 7
    逃げて!背後に写り込む「捕食者の目」...可愛いウサ…
  • 8
    「結婚は人生の終着点」...欧米にも広がる非婚化の波…
  • 9
    4年間SNSをやめて気づいた「心を失う人」と「回復で…
  • 10
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 5
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 6
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 7
    ふわふわの「白カビ」に覆われたイチゴを食べても、…
  • 8
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 9
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 10
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中