「結婚は人生の終着点」...欧米にも広がる非婚化の波、独身を選択した世界の若者は何を思う
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独身が羨望の眼差しを向けられているのも一因かも MONALYN GRACIAーCORBISーVCG/GETTY IMAGES
<非婚化や出生率低下は労働・医療・福祉にも深刻な影響を及ぼす大問題ではあるが、これらに苦しむ先進国では有効な対策が取れていないようだ>
このまま移民排斥と外国人敵視を続ければ、アメリカも遠からず人口減と超高齢化の悪夢に襲われる──。そんな不安を抱かせる数字がある。直近のデータで、アメリカ人女性の合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産む子の数)が1.7という歴史的な低水準に落ち込み、一国の現在の人口水準の維持に必要とされる「人口置換水準」の2.1を大幅に下回ったのだ。
アメリカだけではない。世界の先進国では軒並み出生率と婚姻数が低下し、単身世帯が増えている。もちろん多くの国がさまざまな出産奨励策を打ち出しているが、そもそも他者との関係を嫌い、単身生活を好む若者が増えている。アメリカでも2023年には単身世帯数が史上最多の3810万に達した。
ピュー・リサーチセンターの調査によると、23年には成人の42%が独身だった。24年には単身世帯数が3850万に増え、全米世帯の29%を占めたという(ちなみに半世紀前の1974年には19%だった)。
独身でいることを選ぶ人が急激に増えたのはなぜか。あえてシンプルに言えば、若い世代にとっては「独身生活のほうが楽だし、魅力的でもあるからだ」と、マンハッタン研究所で家族問題を研究するロバート・バーブルッゲンは言う。