アジア作品初のトニー賞6冠! ミュージカル『Maybe Happy Ending』に見る韓国コンテンツ世界的ヒットの法則

トニー賞ミュージカル部門作品賞を受賞した韓国発のミュージカル『Maybe Happy Ending』 REUTERS/Brendan Mcdermid
<演劇界のアカデミー賞と言われるトニー賞をアジア作品として初の受賞>
近年、韓国の文化コンテンツはK-POPに始まり、ドラマ、映画と世界を席巻し、その影響力はますます強まっている。かつて「自国主義」的な色彩が強かった韓国コンテンツビジネスは、今や「展開先の国に合わせる」という明確な戦略のもと、グローバル市場での成功を追求している。この変化を象徴する作品の一つが、今年ブロードウェイで華々しい成功を収め、第78回トニー賞で6部門を受賞したミュージカル『Maybe Happy Ending(原題『어쩌면 해피엔딩』)』だ。
足かけ10年、世界への道のり
『Maybe Happy Ending』は、2016年に韓国・ソウルで初演された純粋なオリジナルミュージカル。物語は2064年の韓国を舞台に、人間を助けるために作られたロボットであるオリバーとクレアが、持ち主を探す旅を通じて人間らしい感情、特に愛と孤独を経験していくという、SFとロマンティックコメディを融合させたユニークな内容だ。この作品は、ロボットの視点から人間とは何かを描くという深遠なテーマが、観客に深い感動を与えている
このミュージカルの国際的な成功は、その企画段階から綿密なグローバル戦略が練られていたことを示している。本作はウラン文化財団の5億ウォン(約5200万円)にものぼる支援のもと、韓国での試験的な公演から本公演、再演を経て、日本のサンシャイン劇場へのツアー、日比谷シアタークリエでの翻訳上演、そしてアメリカのアトランタにあるアライアンス・シアターで上演されるなど、段階的に海外市場での反応を探ってきた。