最新記事
健康

「水を毎日どのくらい飲めばいい?」適切な水分補給が老化を遅らせる可能性がある、との研究結果

2023年2月13日(月)16時30分
松岡由希子

「適切な水分補給が老化を遅らせ、病気のない生活を長続きさせる可能性がある」 fizkes-shutterstock

<アメリカ国立心肺血液研究所(NHLBI)は、適切な水分補給が老化を遅らせ、病気のない生活を長続きさせる可能性があることを示す研究結果を発表した......>

適切に水分補給している人はそうでない人よりも健康で、慢性疾患を発症しづらく、長生きだとみられることがわかった。

血清ナトリウム濃度は体内の水分量を示す指標として用いられている。その正常値は135~146mmol/lとされ、水分量が下がると血清ナトリウム濃度は上がる。

「適切な水分補給が老化を遅らせる可能性がある」

アメリカ国立心肺血液研究所(NHLBI)の研究チームは、まず、血清ナトリウム濃度と心不全リスクとの関係にフォーカスし、45~66歳の1万1814人を対象に25年にわたって追跡調査を行った。2022年3月に発表した研究論文では、血清ナトリウム濃度が142mmol/lを超えると心不全や左室肥大の危険因子となることが示されている。

研究チームはさらに、同じく25年にわたる追跡調査で収集した45~66歳の1万1255人を対象に、血清ナトリウム濃度と老化や慢性疾患などとの関係をより幅広く調べ、その研究成果を2023年1月2日付の医学雑誌「イーバイオメディシン」で発表した。

これによると、血清ナトリウム濃度が正常域内の高値にある人は生物学的老化の進行の徴候がみられた。代謝、心臓血管の健康状態、肺機能、炎症にまつわる15種類の健康マーカーで評価したところ、血清ナトリウム濃度が142mmol/lを超える人は137~142mmol/lの人に比べ、生物学的年齢が暦年齢よりも高い確率が10~15%増加し、144mmol/lを超える人はこの確率が50%増加していた。また、血清ナトリウム濃度が144.5~145mmol/lの水準になると、137~142mmol/lに比べて早期死亡リスクが21%増加する。

血清ナトリウム濃度が正常域内の高値にある人は慢性疾患を発症しやすいことも示されている。血清ナトリウム濃度が142mmol/lを超える人は心不全、脳卒中、心房細動、末梢動脈疾患(PAD)などの慢性疾患や慢性肺疾患、糖尿病、認知症の発症リスクが最大で64%増加した一方、138~140mmol/lの人は慢性疾患の発症リスクが最も低かった。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

中国、今後5年間で財政政策を強化=新華社

ワールド

インド・カシミール地方の警察署で爆発、9人死亡・2

ワールド

トランプ大統領、来週にもBBCを提訴 恣意的編集巡

ビジネス

訂正-カンザスシティー連銀総裁、12月FOMCでも
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 2
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 3
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前に、男性が取った「まさかの行動」にSNS爆笑
  • 4
    「不衛生すぎる」...「ありえない服装」でスタバ休憩…
  • 5
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 6
    『トイ・ストーリー4』は「無かったコト」に?...新…
  • 7
    ヒトの脳に似た構造を持つ「全身が脳」の海洋生物...…
  • 8
    文化の「魔改造」が得意な日本人は、外国人問題を乗…
  • 9
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 10
    「水爆弾」の恐怖...規模は「三峡ダムの3倍」、中国…
  • 1
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 2
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 5
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 6
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 7
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 8
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 9
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 10
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中