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世界の港を次々と支配する中国...国有「海運」企業が遂に「正体」を露わにし始めた

BUSINESS OR POWER?

2022年11月3日(木)13時41分
ディディ・キルステン・タトロブ(本誌米国版・国際問題担当シニアリポーター)

「貿易ボイコット」という武器も

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ペロシ米下院議長の台湾訪問に合わせて、人民解放軍は台湾周辺で軍事演習を実施(今年8月) XINHUA/AFLO

中国はデジタル分野にも進出している。中国交通運輸省が提供する交通・運輸・物流の公共情報プラットフォーム「LOGINK」は、グローバルな物流を管理する貨物データの総合ネットワークで、少なくとも20の港と多くの企業が参加している。

米中経済安全保障検討委員会は最近の報告書で、LOGINKの膨大なデータ収集能力に対し、安全保障上の懸念を示している。また、コスコ・グループは中国の電子商取引大手アリババと提携して、ブロックチェーン技術など高度な世界貿易決済システムを開発している。

これは長期的な戦略ゲームの一部だと、キール世界経済研究所のラングハマーは言う。中国としては、ウクライナ侵攻後にロシアが科されたような経済制裁から自分たちを守るために、国際社会で強固な地位を築きたい。中国は長年、台湾を侵略すると脅し続けている。

一方で、中国も貿易を武器にしてきた。日本や台湾、リトアニア、ノルウェーなどは、中国の非公式な貿易ボイコットで報復された経験がある。最近もオーストラリアが新型コロナウイルスの起源について独立機関の調査を要求すると、ワインや大麦など多くの対中輸出が差し止められた。チェンは次のように語る。

「『あなたの国に投資したい』という礼儀正しさも見せるが、『あなたの国に多額の投資をしているのだから、私たちが撤退したり、あなたを傷つけたりしてほしくないだろう?』という強硬さも併せ持つ」

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