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アメリカが供与を検討する旧式防空システム「ホーク」は ウクライナ戦争で使えるのか

How HAWK Missile System Compares to Ukraine's Current Defense Options

2022年10月26日(水)16時11分
マシュー・インペリ

イランのシャヘド136とみられるドローン攻撃で燃え上がったウクライナの首都キーウ(10月17日) Gleb Garanich-REUTERS

<アメリカがウクライナに供与を検討している地対空防空ミサイル「ホーク」は、アメリカでは「過去の遺物」。ロシアのミサイルやドローン攻撃に対抗できるのか>

アメリカは、ロシアとの戦争が続くウクライナに、新たな防空システムの提供を検討しているようだ。

ロイターは10月25日、米政府関係者2名の言葉を引用して、米国がウクライナに防空システム「ホーク」を送る可能性があると報じた。この関係者らよれば、ホーク防空装備は、アメリカがすでにウクライナに送った小型の短距離防空システム「スティンガー」のアップグレード版だという。

おりしもウクライナ軍は、ウラジーミル・プーチン大統領の部分的動員令で増強を図ったロシア軍を相手に、反攻を続けている最中だ。

ここ数週間、ウクライナはロシアに支配された地域を少しずつ奪還している。ウクライナ防衛軍は、イラン製の自爆型無人機シャヘド136をはじめ、ロシアが送り込んだ多数のドローンやミサイルを撃墜してきたが、それでも厳しい冬を前にインフラ設備が破壊されたり住民の犠牲者が出たり毎日大きな被害が出ている。

戦略国際問題研究所(CSIS)のミサイル防衛プロジェクトを率いるトーマス・カラコは25日に本誌の取材に答え、ホーク防空システムをスティンガーシステムからのアップグレード版とは考えていない、と語った。

「ホークはスティンガーよりずっとずっと大きなミサイルだ。ある面では防空用の地対空ミサイルシステム『パトリオット』の前身にあたる旧式の装備で、以前はパトリオットを補完する役割を果たしていた」だが、ホークは、スティンガーよりも能力は高い、とカラコは指摘する。

【動画】ウクライナで蘇る年代物の地対空ミサイル「ホーク」

アメリカの本気が見える

パトリオットミサイルは、CSISミサイル防衛プロジェクトが「米軍の主要な防空・ミサイル防衛システム」と位置付ける主力兵器だ。

カラコによれば、ホークは、他の防空システムよりも「確かにずっと古い」が、固定翼機や回転翼機に対する防空には有効かもしれない。

「本当に重要な点は、アメリカが、ウクライナに提供できるあらゆる能力を、本気でかき集めようとしているということだ」とカラコは言う。ホークシステムは本質的に「過去の遺物」ではあるが、「たとえ旧式で、能力が限定的であっても、ロシアの航空機に対する抑止力にはなりうる」

「当初ウクライナに供与された防空システムは、主に携帯型だった。アメリカのスティンガーは熱を感知して目標を捕捉する赤外線誘導式で、この種の携帯式防空ミサイルシステムは数多く生産されており、操作もきわめて簡単だ。バイデン政権がウクライナに提供するシステムを決定する際、こうした性質が大きく影響したと思われる」と、軍備管理協会のガブリエラ・ロサ・エルナンデス研究員は本誌に語った。

「ホークは移動式防空システムだ。低空を飛行する標的を攻撃する精度が高く、ウクライナがロシアのミサイル攻撃を切り抜ける上で役に立つことは間違いない。むしろ本当に問題なのは、アメリカ政府がこのシステムをどれだけ早くウクライナに届けられるか、そしてウクライナ人がどれだけ早くシステムを使いこなし、メンテナンスをするための訓練を受けられるかだ」

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