最新記事

ウクライナ

ウクライナで目前に迫る史上最大級の戦車戦

Ukraine-Russia Set To Fight Largest Tank Battle in Europe Since World War 2

2022年4月13日(水)17時50分
ジュリア・カルボナーロ

破壊されたロシアのT-72戦車(ロシアのキーウ郊外ドミトリフカ村) Oleksandr Klymenko-REUTERS

<ロシアが戦力を集中するウクライナ・ドンバス地方で、第二次大戦以来の大規模な戦車の衝突が始まる?>

ポーランドのマテウシュ・モラビエツキ首相は、ヨーロッパで第二次大戦以来最大の戦車戦が起きる可能性について、警告を発した。

ブルームバーグによれば、モラビエツキは4月11日、ベルギーのアレクサンダー・デクルオ首相との記者会見で、ウクライナ紛争において、戦車戦が「目の前に迫っている」と述べた。

モラビエツキは続けて、国際的な観測筋が、ロシアはまもなくウクライナ東部のドンバス地方で攻撃を開始すると予想していることを指摘し、EU加盟国にウクライナへのさらなる軍事支援を呼びかけた。

「最も決定的な戦いが始まろうとしている。それは同時に、この地域における第二次大戦以来最大の戦車戦になるだろう」と、モラビエツキは語った。

モラビエツキが予言するように、今後、ドンバス地方でウクライナとロシアが衝突する場合、それは第二次大戦中の1943年7月5日に始まったドイツ軍とソ連軍による「クルスクの戦い」を思わせるものになるかもしれない。

第二次大戦の壮絶な戦い

史上最大の戦車戦として知られるクルスクの戦いは、前年にスターリングラード攻防戦でソビエト赤軍に敗れたナチス・ドイツにとって、東部戦線を制圧する最後のチャンスだった。モスクワから南に450キロほど離れたロシア西部の都市クルスクに、重砲、戦車、100万人以上の兵士が集結し、1週間に渡って血生臭い戦いが繰り広げられた。

ドイツはクルスク戦線に50万人を超える兵員、迫撃砲と大砲1万門、航空機2500機、戦車2700両を集結させたという。ソ連軍は兵員100万人以上、大砲と迫撃砲2万門以上、航空機2650機、戦車3600両でドイツ軍に立ち向かった。赤軍はさらに戦車1500両を配備していたとされる。

この戦いにおけるソ連側の死傷者は80万人、ドイツ側の死傷者は20万人と推定されている。ドイツ軍は赤軍の防御を突破できずに後退を余儀なくされ、連合軍がシチリア島に上陸して新たな戦線を開いたところで、戦いは終了した。

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、ロシア政府はウクライナ東部に数万人の兵力を集結させており、かねて宣言しているようにドンバス地方の「完全解放」を目指す可能性が高いと警告している。

自国からの補給線が短くなったおかげで、ロシアは東部地域に重装備の部隊をすべて展開できるようになった。このような伝統的な戦争形態でこそ、ロシア軍の軍事的優位性が生かされるとみられている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

NEC委員長、雇用の伸び鈍化見込む 人口減と生産性

ワールド

中国BYD、米政府に関税払い戻し求め提訴 昨年4月

ワールド

EU、第三国の港も対象に 対ロ制裁20弾=提案文書

ビジネス

ECB現行政策「適切」、インフレ率は目標に収束へ=
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:習近平独裁の未来
特集:習近平独裁の未来
2026年2月17日号(2/10発売)

軍ナンバー2の粛清は強権体制の揺らぎか、「スマート独裁」の強化の始まりか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 2
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...周囲を気にしない「迷惑行為」が撮影される
  • 3
    【銘柄】「ソニーグループ」の株価が上がらない...業績が良くても人気が伸びないエンタメ株の事情とは
  • 4
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近した…
  • 5
    台湾発言、総選挙...高市首相は「イキリ」の連続で日…
  • 6
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 7
    「二度と見せるな」と大炎上...女性の「密着レギンス…
  • 8
    韓国映画『しあわせな選択』 ニューズウィーク日本…
  • 9
    【銘柄】なぜ?「サイゼリヤ」の株価が上場来高値...…
  • 10
    変わる「JBIC」...2つの「欧州ファンド」で、日本の…
  • 1
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 2
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた実験室」に...抗生物質の「不都合」な真実とは
  • 3
    がんの約4割は、日々の取り組みで「予防可能」...予防のために、絶対にしてはいけないこととは?
  • 4
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染…
  • 5
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近した…
  • 6
    グラフが示す「米国人のトランプ離れ」の実態...最新…
  • 7
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 8
    台湾発言、総選挙...高市首相は「イキリ」の連続で日…
  • 9
    エヌビディア「一強時代」がついに終焉?割って入っ…
  • 10
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 4
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 7
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 8
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 10
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中