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ウクライナ情勢

プーチンが怖れるNATOの核抑止戦略

B-52s Patrol Europe as US Touts Ironclad Defense After Russia Nuclear Alert

2022年2月28日(月)18時28分

NATO加盟国で核兵器を保有しているのはアメリカとフランスとイギリスの3カ国だけだ。だが加盟国の多くは米軍の核兵器の運搬にも使える核・非核両用戦術航空機(DCA)を運用している。

NATOは23日に「核抑止態勢」についての声明を出した。いわく、NATOの核抑止態勢は「アメリカが欧州に展開する核兵器と、関係する加盟国が提供する運搬能力とインフラに依存している」という。

「加盟国の多くはDCAの(運用)能力でNATOに貢献する」と声明は述べている。「(DCAは)NATOの核抑止ミッションの中核であり......多様な即応能力のレベルで利用可能だ。DCAには紛争において核爆弾を運ぶための装備があり、人員もそれに合わせて訓練されている」

アメリカが「欧州で前方展開している核兵器の絶対的な管理を維持」する一方で、「(他の)加盟国は通常の戦力と戦闘能力でDCAミッションへという軍事支援を提供する」というわけだ。

NATOの東方拡大やロシア国境近くでの軍事活動に対するロシアの恐怖心の中心にあったのがこうした枠組みだった。アメリカはロシア国境近くで以前からB52を含む演習を行っており(19年のノルウェーとの演習もその一例だ)、ロシア政府は自国への攻撃に向けた訓練だと受け止めた。

プーチンは第三者の介入を強く牽制

ウクライナに対する軍事作戦を宣言するにあたり、プーチンは欧米など第三者による介入を強く牽制した。

「われわれに干渉しようとする者は誰であっても、わが国や国民にとっての脅威を作り出すために干渉する者はなおさら、ロシアが即時に反応し、過去に一度も経験したことのないような結果につながることを肝に銘じるべきだ」とプーチンは警告した。

「いかなる事態の展開にも対応する態勢は整っている」とプーチンは述べた。「これについて必要な全ての決断はすでに終わっている。私の言うことに耳を傾けてもらえるといいのだが」

介入すれば核を使うという意味なのか。


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