最新記事

ロシア

プーチン過激化「世界が破滅しても核兵器で報復する」

2018年3月9日(金)16時50分
ダミアン・シャルコフ

3月3日、モスクワで選挙演説をしたプーチン Alexei Nikolsky/Kremlin/REUTERS

<3月18日に大統領選を控え、ますます強い指導者を演じるプーチンにとって、頼りは核兵器だけ?>

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、敵から核攻撃を受ければ「たとえ世界の終わりになろうと」迷わず核攻撃で報復する、と警告した。

3月18日の大統領選を前に、プーチンはロシア政府寄りのテレビ番組の司会者とのインタビューに応じ、歯に衣着せぬ発言がインターネットで公開された。

有力な対抗馬がおらず、プーチン4選は確実とされるが、近年ロシアの投票率は過去最低に落ち込んでいる。それを懸念してか彼は最近、外国の攻撃からロシアを守る最後の砦は自分しかいない、と言わんばかりの強硬な発言を連発し、メディアの注目を集めている。「強いロシア」を実現できる「強い大統領」が売りだ。

【参考記事】ロシアが誇る「無敵」核兵器をアメリカは撃ち落とせない


ロシアがない世界は無用

核戦争について尋ねられたプーチンは、もしロシアの防衛システムが敵の核ミサイル発射を察知すれば核兵器で報復する、と言った。

「相互攻撃というものだ」と、プーチンは2時間のドキュメンタリー番組『世界秩序2018』で語った。「誰かがロシアを破滅させようと決断したら、われわれには報復する権利がある」

核攻撃をすれば世界が終わるとする見方に対してはこう答えた。「そう、世界を巻き込む大惨事になるだろう。だがロシアが存在しない世界など、そもそも無用じゃないか」

プーチンが大統領選で4選を果たし、さらに6年の任期を全うすれば、最高指導者としての在任期間は首相時代を含めて24年になる。旧ソ連の独裁者ヨシフ・スターリン書記長以来の長期政権になる。

3月1日の年次教書演説では、会場を初めてクレムリン(大統領府)の外にある近代的な展示場に移し、大型スクリーンに「無敵」の核兵器を次々に映し出すパフォーマンスをした。

【参考記事】ロシアが北朝鮮の核を恐れない理由

(翻訳:河原里香)

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

焦点:闇に隠れるパイロットの精神疾患、操縦免許剥奪

ビジネス

ソフトバンクG、米デジタルインフラ投資企業「デジタ

ビジネス

ネットフリックスのワーナー買収、ハリウッドの労組が

ワールド

米、B型肝炎ワクチンの出生時接種推奨を撤回 ケネデ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺るがす「ブラックウィドウ」とは?
  • 3
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 6
    「搭乗禁止にすべき」 後ろの席の乗客が行った「あり…
  • 7
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 8
    『羅生門』『七人の侍』『用心棒』――黒澤明はどれだ…
  • 9
    仕事が捗る「充電の選び方」──Anker Primeの充電器、…
  • 10
    ビジネスの成功だけでなく、他者への支援を...パート…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺るがす「ブラックウィドウ」とは?
  • 3
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」が追いつかなくなっている状態とは?
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 6
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 7
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 8
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 9
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 10
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中