最新記事

東南アジア

ミャンマー、間もなくクーデターから1年 民主派リーダー「2月1日、沈黙の抵抗を」

2022年1月26日(水)19時25分
大塚智彦
ミャンマーの警察と軍事クーデターに反対する人々

ミャンマーの軍政と反軍政の市民の対立は今もなお。写真は昨年3月にマンダレーで撮影されたもの REUTERS

<突然の政変が起きた国は今も軍政と民主派の対立が続いたまま、もうすぐ1年に>

ミャンマーで反軍政の立場をとる民主派のリーダーが軍による2021年のクーデター発生から1年となる2月1日に、軍政への抵抗を示すために自宅に留まる「沈黙の抵抗」を国民に呼びかけている。

ミャンマーの反軍政の立場をとる独立系メディア「ミッズィマ」などによると、この呼びかけは2月1日は出勤や外出を一切控え、商店も店を閉じて午前10時から午後4時までの間自宅に留まり、静かに抵抗の姿勢を一斉に示そうというもので、「沈黙の抵抗」と名付けられている。

呼び掛けでは同日午後4時には各自が自宅で一斉に拍手をして抵抗運動を終えようと求めている。

インターネットのSNSで「沈黙の抵抗」を呼びかけているのは民主派のコー・タイ・ザー・サン氏で治安当局による捜索を逃れて現在地下に潜伏中といわれている。

SNSで国民に広く呼びかけ

SNSを通じて同氏は「クーデター発生日であり、我々の抵抗運動"春の革命"がスタートした日でもある2月1日に我々は世界に対して抵抗精神は強く、軍政の支配に決して屈することなく、戦いを恐れることがないことを示す」として賛同を求めており、このメッセージは急速に拡散、共感や支持が広がっているという。

この呼びかけには「ミャンマー一般労働者同盟(FGWM)」も呼応して傘下の組合、組合員にも「沈黙の抵抗」への参加を促し、連帯を示すよう求めている。

FGWMの報道官は「2022年は人々による革命が成就する年となることを確信している。我々の強い信念と闘争心で今年は人々による統治の復活を成し遂げよう」と表明。「世界は2月1日にミャンマー国民が軍政に屈することなく何をしようとしているか注目している」と強い決意を示している。

ミャンマーの反軍政市民による「沈黙の抵抗」は2021年12月10日の「国際人権デー」に合わせて行われたときに続き2回目となる。人権デーに合わせた運動ではミャンマー市民の民主政権復活への思いを国際社会に伝えることができたとしている。

市民の抵抗運動、穏健路線から武装へ

ミャンマーの軍政に抵抗する市民運動はクーデター後はしばらくの間、自宅などで鍋窯を叩いて反軍政を表現したり、男性がその下を通ると不幸が起きるといわれる女性用のロンジー(伝統衣装)を街頭に吊り下げたりするなど、穏健な運動を展開していた。

各地で拡大した反軍政のデモや集会では軍政トップのミン・アウン・フライン国軍司令官の写真を踏みつけたり、バツ印をつけて反発を示していたが、治安当局による弾圧が強まった。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

台湾総統、強権的な指導者崇拝を批判 中国軍事パレー

ワールド

セルビアはロシアとの協力関係の改善望む=ブチッチ大

ワールド

EU気候変動目標の交渉、フランスが首脳レベルへの引

ワールド

米高裁も不法移民送還に違法判断、政権の「敵性外国人
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:豪ワーホリ残酷物語
特集:豪ワーホリ残酷物語
2025年9月 9日号(9/ 2発売)

円安の日本から「出稼ぎ」に行く時代──オーストラリアで搾取される若者たちの実態は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニングをする女性、異変を感じ、背後に「見えたモノ」にSNS震撼
  • 2
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体」をつくる4つの食事ポイント
  • 3
    「見せびらかし...」ベッカム長男夫妻、家族とのヨットバカンスに不参加も「価格5倍」の豪華ヨットで2日後同じ寄港地に
  • 4
    上から下まで何も隠さず、全身「横から丸見え」...シ…
  • 5
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が…
  • 6
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動…
  • 7
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害…
  • 8
    Z世代の幸福度は、実はとても低い...国際研究が彼ら…
  • 9
    トレーニング継続率は7倍に...運動を「サボりたい」…
  • 10
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 1
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が下がった「意外な理由」
  • 2
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動ける体」をつくる、エキセントリック運動【note限定公開記事】
  • 3
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ女性が目にした光景が「酷すぎる」とSNS震撼、大論争に
  • 4
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体…
  • 5
    25年以内に「がん」を上回る死因に...「スーパーバグ…
  • 6
    豊かさに溺れ、非生産的で野心のない国へ...「世界が…
  • 7
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害…
  • 8
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
  • 9
    首を制する者が、筋トレを制す...見た目もパフォーマ…
  • 10
    上から下まで何も隠さず、全身「横から丸見え」...シ…
  • 1
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 2
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 3
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大ベビー」の姿にSNS震撼「ほぼ幼児では?」
  • 4
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 5
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 6
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 7
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 8
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 9
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 10
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中