最新記事

生物

半身を失った「ゾンビザメ」、10匹に共食いされてなお泳ぎ続ける:動画

2021年11月29日(月)14時54分
青葉やまと

胴体を半分食いちぎられても泳ぎ続けるサメ  sun

<深傷を負ってなお生きようとするサメの姿。海洋学者らが捉えた映像資料が話題に>

海の覇者・サメといえど、広い海洋では常に危険と隣りあわせで生きているようだ。海洋学者たちが調査を終え、1匹のサメをモザンビーク沖で海に放った。すると瞬く間に10匹ほどのサメの群れに囲まれて餌食となり、半身の大部分を失う負傷を負う事態となる。

サメがサメに襲われるというショッキングな瞬間だが、調査チームを驚かせたのはそれだけではなかった。体内が見えるほどの大怪我を負いながらも、ターゲットとなったサメは海底の方向に逃れようともがき、鮮血を海中に漂わせながらしばらくのあいだ泳ぎ続けていたのだ。

放流した調査チームのカメラがこの様子の一部を捉え、映像として残っている。英サン紙
など複数のイギリスメディアが動画を取り上げ、「ゾンビ・シャーク」として報じた。

映像によると左半身の胸ビレより後ろの大部分を食いちぎられ、内臓を収めていたとみられる胴体内部の空洞が丸見えになっている。断面からは痛々しく破れた肌の向こうに白身の筋肉がのぞき、体内から絶え間なく流れる血が海水を赤く染める。口から海面へと延びる糸は、放流時に取り外しが間に合わなかった調査用の釣り糸だろうか。

サメは深みへと逃げようとするが、なおも複数のサメがあとを追い回し、追撃の機会を狙っている。襲った側のサメは大小さまざまで、大きいものでは体重400キロと推定される妊娠中の個体もあったという。なかには、気性が荒いことで知られるオオメジロザメの姿も確認されている。調査チームによると、襲われたサメは半身を喪失しつつも一団から逃れようと奮闘し、およそ20分のあいだ海中を逃げ回ったあと力尽きたという。

共食いの瞬間捉えた貴重な資料

今回映像を撮影したのは、独クリスティアン・アルブレヒト大学キール校のスペイン人海洋学者である、マリオ・レブラト博士のチームだ。サメが共食いをすることはある程度知られているものの、これまで映像に収められることは珍しかった。

現場は南アフリカに隣接するモザンビークの、沖合100メートルほどの地点だ。博士たちチームがサメを海に放したところ、水面下1〜2メートルほどの浅い地点で襲撃は起こった。襲われたサメはカマストガリザメと呼ばれる全長2メートルに達する種で、世界の熱帯から亜熱帯に広く分布する。

博士は英ミラー紙に対し、「サメがサメを捕食するという事実はよく知られています。しかし、映像として記録するとなると非常に難しいことなのです」と語り、貴重な映像資料になるのではないかとの認識を示した。

一件はアメリカでも報じられている。米ニューヨーク・ポスト紙は『「半分食べられた」ゾンビザメ』「元の姿の半分になったサメだが、ガッツは失っていない」として取り上げた。記事は「その体の大部分を失いつつも、このカマストガリはレブラト(博士)とそのチームの目の前を20分泳ぎ続けた」とし、力強く生きようとするサメの姿を伝えている。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

米有権者、不法移民の送還支持、強硬手法には反対=世

ビジネス

訂正-トランプ関税の混乱、新興国経済にまだ打撃見ら

ワールド

米ICE、急速な人員拡大で身元調査が停滞 不祥事リ

ワールド

中国からのレアアース輸入、1月は前年比5.7%減 
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本人が知らない AI金融の最前線
特集:日本人が知らない AI金融の最前線
2026年3月 3日号(2/25発売)

フィンテックの進化と普及で、金融はもっと高速に、もっとカジュアルに

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    村瀬心椛は「トップでなければおかしい」...スノボの謎判定に「怒りの鉄拳」、木俣椋真の1980には「ぼやき」も
  • 2
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからくりとリスク
  • 3
    戦術は進化しても戦局が動かない地獄──ロシア・ウクライナ戦争5年目の現実
  • 4
    住宅の4~5割が空き家になる地域も......今後30年で…
  • 5
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 6
    最高裁はなぜ「今回は」止めた?...トランプ関税を違…
  • 7
    3頭のクマがスキー客を猛追...ゲレンデで撮影された…
  • 8
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
  • 9
    【クイズ】サメによる襲撃事件が最も多い国はどこ?
  • 10
    中国で今まで発見されたことがないような恐竜の化石…
  • 1
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より日本の「100%就職率」を選ぶ若者たち
  • 2
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医師がすすめる意外な健康習慣
  • 3
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く高齢期の「4つの覚悟」
  • 4
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体に…
  • 5
    村瀬心椛は「トップでなければおかしい」...スノボの…
  • 6
    「#ジェームズ・ボンドを忘れろ」――MI6初の女性長官…
  • 7
    カビが植物に感染するメカニズムに新発見、硬い表面…
  • 8
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 9
    海外(特に日本)移住したい中国人が増えている理由.…
  • 10
    100万人が死傷、街には戦場帰りの元囚人兵...出口な…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 5
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 6
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 9
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 10
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中