英王室は本気?エリザベス女王が気候変動との戦いに大号令
Queen Elizabeth II Invokes World War Two in Rallying Cry on Climate Change
地球環境の修復に人類のチームワークを、と訴えるエリザベス英女王 Andrew Matthews/REUTERS
<地球環境問題で何かと話題をふりまくエリザベス女王とウィリアム王子は本気か>
英国女王エリザベス2世は気候変動に関して、「克服できないように見える困難」ではあるものの、これをきっかけとして世界を変える技術的な解決策が生まれる可能性があると述べ、政府に行動を呼びかけた。
95歳にして英国君主の座にある女王は、サステナビリティ(持続可能性)を推進する英国の役割に期待するスピーチの中で、第二次世界大戦中に生まれた技術的な進展に言及した。
エリザベス女王は、英国のイノベーションの歴史は「困難に対抗するチームワーク」という基礎のもとに築き上げられたと語った。ロンドンで現地時間10月19日に開催されたグローバル投資サミット(GIS)に向けた今回の女王のスピーチは、2020年4月に新型コロナウイルスの感染拡大を受けて特別に行われた演説をほうふつとさせるものだった。
女王は今回、こう語った。「往々にして、私たちが世界を変える技術を作り出すのは、克服が不可能にも見える困難に、団結して立ち向かう時であることが多い」
「英国における私たちのイノベーションの歴史は、困難に対抗するチームワークという基礎から生まれていることを、私はしばしば思い知らされている」と女王は続けた。
ナチスの暗号解読を例に
さらに女王は、世界初の近代的なコンピューターが、イングランドで生み出されたいきさつについて触れた。このコンピューターは第二次世界大戦中、政府暗号学校が置かれた邸宅「ブレッチリー・パーク」において、ドイツ軍のエニグマ暗号を解読するための極秘研究に従事していた科学者チームが開発したものだった。
エリザベス女王は、数学者アラン・チューリングをはじめとするこのチームのメンバーに、社会は「現代世界の多くを作り上げてくれたことを感謝すべきだ」と述べた。
「しかしながら、今日の課題は暗号解読ではない。気候変動が引き起こす問題を、世界中が団結して回避することだ。この課題に立ち向かうことは、政府、実業界、市民社会に属する私たち共通の責任だ」
「英国がサステナブルな未来を確実なものにしようと取り組んでいることを、私は誇りに思う。とはいえ、やるべきことはまだ多い」
今回の女王の発言は、英国が議長国を務める国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)の開催が迫る中で発表されたものだ。10月31日からグラスゴーで開催されるCOP26では、世界各国の首脳が集まり、脱炭素化の動きを前進させるための話し合いを行う。
英国王室メンバーは、気候変動に関して発言することが多いが、10月19日に行われた女王のスピーチはその最新の例だ。