最新記事

感染症対策

異物混入のモデルナ製ワクチン、接種中止で混乱 政府「健康被害の報告なし」

2021年8月27日(金)09時16分
モデルナ製新型コロナウイルスワクチン

厚生労働省は複数の接種会場から、米モデルナ製の新型コロナウイルスワクチンに異物の混入があるとの報告があったとして、約163万回分の接種を見合わせると発表した。写真はモデルナ製ワクチンのイメージ。2020年10月撮影(2021年 ロイター/Dado Ruvic)

厚生労働省は26日、米モデルナ製の新型コロナウイルスワクチンについて、未使用の状態での異物混入が複数の接種施設から報告されたとして、約163万回分の接種を見合わせると発表した。日本航空(JAL)など一部の企業は、同日の職域接種を取りやめるとしている。加藤勝信官房長官によると、これまでに「健康被害の報告はない」という。

職域接種、一部取りやめ

加藤官房長官は同日午前の会見で、異物が混入したロットの大部分が大規模接種会場や職域接種会場に配布され「一部接種がなされていると承知しているが、具体的人数については厚生労働省で直ちに把握し得る状況にない」とした。

厚労省によると、最初に異物混入の報告があったのは先週16日。

NHKによると、同省は同じ工場で製造されたワクチンを配送した全国800余りの接種会場に接種を見合わせるよう26日から連絡を取っている。16日以降、東京都と埼玉県、茨城県、愛知県、岐阜県にあるの接種会場のうち8カ所で、未使用の容器の一部に異物が混入しているのが見つかったという。

防衛省は、自衛隊大阪大規模接種センターで6日から20日の間に対象のロットが使用されていたと発表した。安全性の問題に関する報告はないという。東京大規模接種センターでは、当該ロットの納品はない。

日本航空(JAL)は、該当するロット番号のワクチンの使用を中止するため、26日に予定していた一部の社員の接種を取りやめると明らかにした。それ以外のロット番号については、予定通り接種を実施する。

全日本空輸(ANA)は、手元にあるワクチンは全て該当するロット番号に当たるため、26日の職域接種は全て取り止める。当該ロットのワクチン約4700回分は使用済みという。健康被害の報告は受けていない。

異物混入はスペインの製造ラインか

モデルナは、日本に供給されたワクチンの製造ロットの1つで粒子状物質が混入しているとの報告を受けたと公表。スペインの生産委託先の製造ラインの1つで生じた問題が原因だった可能性があるという。

異物混入の報告があった製造ロットは56万5400回分で、「十分に慎重を期して」、同ロットに加えて隣接する2つの製造ロットの接種を保留にしたと説明した。

「現時点で安全性や有効性の問題は確認されていない」といい、流通を担う武田薬品工業や規制当局と協力して対応すると表明している。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ウクライナ・英首脳が会談、軍事共同生産構想を発表

ビジネス

関税の影響「予想より軽微」、利下げにつながる可能性

ワールド

イラン、カタールの米空軍基地をミサイル攻撃 米側に

ビジネス

米総合PMI、6月は52.8に低下 製造業の投入価
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本のCEO
特集:世界が尊敬する日本のCEO
2025年7月 1日号(6/24発売)

不屈のIT投資家、観光ニッポンの牽引役、アパレルの覇者......その哲学と発想と行動力で輝く日本の経営者たち

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々と撤退へ
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    飛行機内で「最悪の行為」をしている女性客...「あり得ない!」と投稿された写真にSNSで怒り爆発
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ホルムズ海峡の封鎖は「自殺行為」?...イラン・イス…
  • 6
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測…
  • 7
    EU、医療機器入札から中国企業を排除へ...「国際調達…
  • 8
    「イラつく」「飛び降りたくなる」遅延する飛行機、…
  • 9
    イランとイスラエルの戦争、米国より中国の「ダメー…
  • 10
    【クイズ】次のうち、中国の資金援助を受けていない…
  • 1
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 2
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の「緊迫映像」
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    イタリアにある欧州最大の活火山が10年ぶりの大噴火.…
  • 8
    ホルムズ海峡の封鎖は「自殺行為」?...イラン・イス…
  • 9
    飛行機内で「最悪の行為」をしている女性客...「あり…
  • 10
    イランとイスラエルの戦争、米国より中国の「ダメー…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊の瞬間を捉えた「恐怖の映像」に広がる波紋
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 5
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 6
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 7
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 8
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 9
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 10
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中