最新記事

中国政治

中国は全人代で国防予算を大幅増額へ、軍事的な緊張高まりで=安保専門家

2021年3月1日(月)13時02分

3月5日に開幕する中国の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)では、新型コロナウイルス流行の影響から経済が回復し、軍事的な緊張が高まる中、大幅増額された国防予算が示される見通しだ。写真は2019年10月、北京で撮影された軍用機の編隊飛行(2021年 ロイター/Tingshu Wang)

3月5日に開幕する中国の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)では、新型コロナウイルス流行の影響から経済が回復し、軍事的な緊張が高まる中、大幅増額された国防予算が示される見通しだ。国内外の安全保障問題専門家が明らかにした。

中国の昨年の国防予算は6.6%増と、新型コロナ流行で経済が打撃を受ける中、30年間で最も低い伸びとなった。

米国のバイデン新政権はアジア太平洋地域で中国に対抗する姿勢を見せており、ここ数週間で米海軍艦船が台湾付近や南シナ海の紛争海域を航行している。

上海政法学院の元教授、倪楽雄氏は「中国は朝鮮戦争以来、最も深刻な安全保障環境に直面している」と指摘。米国による台湾への武器輸出、中国沿岸沖における米空母の定期的な展開、南シナ海における仏艦船・原子力潜水艦の最近のプレゼンスを挙げ、中国国防予算の大幅な増額を予想した。

同氏は「世論を見れば、台湾を軍事的に取り戻すことがより喫緊の課題となっている。このため、国防予算は間違いなく大きく増加するだろう」と語った。

米戦略予算評価センターの非滞在型フェローで豪国防省の元当局者であるロス・バベッジ氏は、国防予算の約7%増を予想。「これは一部の人々が予想するよりも低い伸びかもしれない。中国経済が素晴らしいといえる姿にまだなっていないことが理由だ」と語った。

中国経済の2020年成長率は2.3%にとどまったものの、主要国では唯一プラス成長となった。ロイター調査では今年は8.4%成長が見込まれている。

中国国防省にコメントを求めたが、回答を得られなかった。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2021トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・オーストラリアの島を買って住民の立ち入りを禁じた中国企業に怨嗟の声
・反日デモへつながった尖閣沖事件から10年 「特攻漁船」船長の意外すぎる末路
→→→【2021年最新 証券会社ランキング】



ニューズウィーク日本版 世界が尊敬する日本の小説36
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年9月16日/23日号(9月9日発売)は「世界が尊敬する日本の小説36」特集。優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米中、TikTok巡り枠組み合意 首脳が19日の電

ワールド

米国務長官、カタールに支援継続呼びかけ イスラエル

ビジネス

NY州製造業業況指数、9月は-8.7に悪化 6月以

ビジネス

米国株式市場・午前=S&P・ナスダックが日中最高値
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェイン・ジョンソンの、あまりの「激やせぶり」にネット騒然
  • 3
    腹斜筋が「発火する」自重トレーニングとは?...硬く締まった体幹は「横」で決まる【レッグレイズ編】
  • 4
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 5
    ケージを掃除中の飼い主にジャーマンシェパードがま…
  • 6
    電車内で「ウクライナ難民の女性」が襲われた驚愕シ…
  • 7
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 8
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 1
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 2
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 3
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 4
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 5
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 6
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 7
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    埼玉県川口市で取材した『おどろきの「クルド人問題…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 10
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中