最新記事

Qアノン

Qアノンの次の予言「3月4日にトランプは正統な大統領になる」を信じて待つ信者たち

Why QAnon Followers Think Donald Trump Will Be Sworn Back In on March 4

2021年2月10日(水)19時53分
イワン・パーマー

ニューヨーク市にある親トランプ派メディアFOXニュース前で支持を訴えるQアノン信奉者たち(2020年11月2日)  Carlo Allegri-REUTERS

<荒唐無稽な予言の主たる根拠は、アメリカは1871年に株式会社化されており、それ以降の大統領は正統な大統領ではないという反政府過激主義>

アメリカを動かす影の政府「ディープ・ステート」や悪魔崇拝の小児性愛者組織とトランプが戦っているというQAnon(Qアノン)陰謀論を信じる人々は、大統領に再選されたトランプがこれらの敵を倒してくれると本気で信じていた。

だがトランプは大統領選で敗北し、大統領就任式の日にディープ・ステート関係者を一網打尽にして処罰することもできなかった。失望したQアノン信奉者は次は今、3月4日を新たなターゲットに定めている。

ジョー・バイデンは1月20日の式典を無事に終えて新大統領に就任し、2017年後半以降のQアノンの予言はすべて外れた。だがQアノン信奉者は真実ではなく信じたいものを信じる。簡単にはへこたれない。次は、トランプがどうにかして3月4日に大統領に就任するという予言を信じている。

3月4日をめぐる陰謀論は1月から噂されている。Qアノンはトランプが大統領ではなくなったにもかかわらず、「計画」がまだ進行中であることを示す新しい方法を発見し、支持者はひたすら「信仰」を保つ必要がある。

この日付に関する関心が再び浮上したのは、ワシントンにあるトランプ・インターナショナル・ホテルの3月4日の宿泊料金が1331ドルに引き上げられたからだ。3月の通常の宿泊料金は大半が596ドルなのでその2倍以上、1番安い部屋のほぼ3倍に値上げされたことになる。

別の陰謀論のアイデア拝借

ワシントンにあるこのホテルは以前も、トランプの支持者にとって重要な日に宿泊料を値上げしたことがある。Qアノンの信者が参加していた連邦議会への乱入事件が起きた1月6日の夜は、一泊8000ドルにはねあがっていた。

Qアノン運動の最も新しい予言は、連邦政府の法律や納税義務に従う必要がないと考える反政府過激主義のソブリン市民運動の理論に根差したものらしい。

この運動は1871年に制定されたある法律によりアメリカは密かに国家ではなく株式会社になった、という信念に基づいている。したがって、1869年に第18代大統領に就任したユリシーズ・グラント以降の大統領はすべて、正統な存在ではないと考える。

彼らはまた、フランクリン・D・ルーズベルトが金本位制を停止した1933年以来、アメリカは正体不明の投資家のグループによって運営されていると主張している。大統領就任式の日取りも1933年に3月4日から1月20日に変更された。

公民権を守る非営利団体の南部貧困法律センター(SPLC)が指摘したように、ソブリン市民のメンバーは、訴訟沙汰になると、自分たちの主張を支持する「法的に見えるでたらめが詰まった数百ページもの文書」を職員に提示する。

FBIはソブリン市民運動の過激派を、国内テロを引き起こす危険があり、メンバーが多くの暴力的な事件の背後にいると見ている。また、Qアノンとソブリン市民運動が唱える多くの理論は反ユダヤ主義に基づいている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ホンダがAstemoを子会社化、1523億円で日立

ビジネス

独ZEW景気期待指数、12月は45.8に上昇 予想

ワールド

トランプ氏がBBC提訴、議会襲撃前の演説編集巡り巨

ビジネス

英総合PMI、12月速報は52.1に上昇 予算案で
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連疾患に挑む新アプローチ
  • 4
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 5
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 6
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 7
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 8
    アダルトコンテンツ制作の疑い...英女性がインドネシ…
  • 9
    FRBパウエル議長が格差拡大に警鐘..米国で鮮明になる…
  • 10
    「なぜ便器に?」62歳の女性が真夜中のトイレで見つ…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 7
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 8
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 9
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 10
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中