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中国の途上国待遇を許すな、今こそ「契約」を仕切り直す時

REWRITE THE CONTRACT

2021年1月20日(水)16時45分
アルビンド・スブラマニアン(印アショカ大学教授)

例えば中国政府は対外投資に関して、政府と国有企業は別物であり、後者の投資は商業原則に基づいていると主張するが、これは眉唾ものだ。国有企業が政府から独立していると言うなら、その証拠を示す責任は中国側にある。

アメリカは長期戦に備えを

いずれにせよ、バイデンはまず中国を説得して、再交渉の席に着かせなければならない。そのためには、トランプ政権が一方的に課した中国製品への高率関税を取り下げることも必要だろう。

またアジアインフラ投資銀行(AIIB)など、中国主導の国際金融機関に参加する意思を示し、世界銀行やIMFの運営権を欧米が独占している現状を終わらせる譲歩も必要かもしれない。

そうやって関係改善の空気を醸成した上で、アメリカは戦術を選ぶべきだ。一国主義か多国主義か、あるいは地域主義かの選択だ。

理論上は、トランプ以上に一国主義の道を貫くこともできる。中国をWTOの一員とは認めないと、一方的に宣言してもいい。だが今の世界経済は中国なしでは回らない。だから、この戦術は使えない。

WTO再生の一環として、多国間で中国と再交渉するという選択肢はどうか。しかしトランプ政権の下でアメリカの国際的信用は地に落ちてしまったし、今の中国はWTO加盟諸国に絶大な影響力を持っている。

そうなると、残るは地域主義のアプローチだ。オバマ政権が主導し、土壇場でトランプが離脱したTPP(環太平洋経済連携協定)に復帰する手もある。それを足場にして南アジア地域や、ひいてはヨーロッパとの経済連携を強化することも可能だろう。そうすれば誰もが中国への依存度を下げることができる。

ただし甘い夢を見るのは禁物。相手は中国だ。腰を据えて、まずは長期戦に備えるべきだ。

© Project Syndicate

<2021年1月26日号「バイデンvs中国」特集より>

(本誌特集では、人権問題やテクノロジー覇権の行方も探り、「バイデン政権は中国に弱腰」が本当かを検証します)

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