最新記事

緊急事態宣言

東京・神奈川・千葉・埼玉4知事が緊急事態宣言を要請 西村大臣「危機感共有、専門家の意見聞く」

2021年1月2日(土)20時42分

1月2日、新型コロナウイルスの感染が拡大する東京都など首都圏の1都3県は、政府に緊急事態宣言を出すよう要請した。

新型コロナウイルスの感染が急拡大する東京など首都圏の1都3県は2日、政府に緊急事態宣言を出すよう要請した。すでに飲食店などに時短営業を求めているが、法的根拠があるさらに強い措置が必要と判断した。4都県の知事と会談した西村康稔経済再生担当相は、危機的な状況を共有する一方、発出するかどうかは専門家の意見を聞く必要があるとの認識を示した。

東京都の小池百合子知事、埼玉県の大野元裕知事、千葉県の森田健作知事、神奈川県の黒岩祐治知事が同日午後、西村康稔経済再生担当相と会って宣言の発出を求めた。

会談後、4知事と揃って記者会見した西村氏は、「緊急事態宣言の発出も視野に入るような危機的な状況になっていること、こうした危機感を共有した」と述べた。実際の判断は専門家の意見を聞く必要があると説明し、「新年できるだけ早いタイミングで分科会を開かないといけないと思っている」と語った。

同時に西村氏は4知事に対し、1)飲食店(カラオケ・バー含む)の閉店時間を午後10時から午後8時に前倒し、酒類の提供は午後7時までとすること、2)企業のテレワークを徹底すること、3)職場・学校の感染防止策を徹底すること、4)イベントの開催要件を徹底すること──を求めた。

西村氏は、時短営業に協力する店舗に都や県が支払う協力金を支援するため、地方交付金の拡充を検討する考えも明らかにした。

4知事と西村氏の会談は3時間半に及んだ。小池都知事は会談後、記者団に対し「1都3県の陽性者の状況、医療体制の現状から、ここで直ちに人流の抑制の徹底が必要と判断した」と述べた。その上で、政府に対し、新型コロナ対策の特別措置法を早期に改正することや、緊急事態宣言を出す場合に一定の周知期間を設けること、水際対策を強化することなどを要望したことも明らかにした。

千葉県の森田知事は「私たちは争うことでなくコロナに勝つことを頭に入れないといけない」と強調し、政府側と見解の相違があったことも示唆した。

首都圏では感染拡大に歯止めがかからず、東京は12月31日に1日の新規感染者が1337人と、初めて1000人を超えた。同日夕に関係閣僚と対応を協議した菅義偉首相は、記者団から緊急事態宣言を出す可能性を問われ、「今の医療体制をしっかり確保して、感染拡大回避に全力を挙げる。このことが大事だと思っている」と述べた。

緊急事態宣言は特措法に基づき、地域と期間を定めて首相が出す。対象となった都道府県の知事は、法的根拠を持って外出や店舗営業の自粛、施設の使用制限などを要請できる。

しかし、現在の宣言は強い強制力を伴わないことから、政府はコロナ対策の実効性を高めるため、罰則規定を盛り込むことも視野に特措法の改正を検討している。

政府は昨年4月6日から東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡の7都府県に緊急事態宣言を発出した。その後、全国に対象を広げ、5月25日に解除した。

(竹本能文、中川泉 編集:久保信博)


[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・新型コロナが重症化してしまう人に不足していた「ビタミン」の正体
・世界の引っ越したい国人気ランキング、日本は2位、1位は...



ニューズウィーク日本版 ISSUES 2026
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年12月30日/2026年1月6号(12月23日発売)は「ISSUES 2026」特集。トランプの黄昏/中国AIに限界/米なきアジア安全保障/核使用の現実味/米ドルの賞味期限/WHO’S NEXT…2026年の世界を読む恒例の人気特集です

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米ウクライナ首脳、日本時間29日未明に会談 和平巡

ワールド

訂正-カナダ首相、対ウクライナ25億加ドル追加支援

ワールド

ナイジェリア空爆、クリスマスの実行指示とトランプ氏

ビジネス

中国工業部門利益、1年ぶり大幅減 11月13.1%
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 2
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指すのは、真田広之とは「別の道」【独占インタビュー】
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    【世界を変える「透視」技術】数学の天才が開発...癌…
  • 5
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 6
    【銘柄】子会社が起訴された東京エレクトロン...それ…
  • 7
    中国、米艦攻撃ミサイル能力を強化 米本土と日本が…
  • 8
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 9
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 10
    「アニメである必要があった...」映画『この世界の片…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 6
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 7
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 8
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 10
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中