最新記事

日本社会

人口激減と超高齢化......2020年代以降の日本を待ち受ける未曽有の大変化

2021年1月20日(水)15時30分
舞田敏彦(教育社会学者)

2060年には日本の社会の様相は一変している takasuu/iStock.

<40年後の日本は、5人に2人が高齢者で、毎年人口が100万人近く減る社会になる>

総務省統計局は毎年、『日本統計年鑑』という資料を出している。あらゆる分野の統計が網羅された公的な総合統計書だ。

この資料の「人口」という章を見ると、過去から現在までの日本の人口の長期推移が出ている。これによると、20世紀初頭の1900年(明治33)年の人口は4385万人で、現在の3分の1ほどしかなかった。しかし翌年は4436万人、その翌年は4496万人と右上がりに増加し、戦前期は毎年、人口が50~70万人ほど増えていたことが分かる。

今から100年以上も前の話だが、データを現在、さらには未来まで延ばすとどうなるか。ここで視覚化したいのは、前年と比較した増減だ。この数には、社会の活力のようなものが表れている。<図1>を見ていただきたい。

data210120-chart01.jpg

1945年に戦争が終わった直後は、帰還兵や団塊世代の誕生により、年間の人口増加が大きくなっている。1949~50年の1年間では、8177万人から8412万人へと234万人も増えた。

その後、凹凸しながらも高度経済成長期にかけて人口増加の時代が続く。平均すると年間100万人増のペースで、まさに日本社会が成長する時代だった。人口が1億人を突破したのは1967(昭和42)年のことだ。

だが70年代初頭(団塊ジュニア世代誕生)をピークに、人口増のペースは低下に転じる。出生数が減り、死亡数が増加に転じたためだ。その後もこの傾向は続き、ついに2005年、対前年の人口がマイナスを記録する。人口減少時代の幕開けだ。

グラフの右に目を移していくと、2020年代以降は50万人、70万人、さらには100万人減る時代になると予想される。たった1年間で、だ。ピンとこない人もいるかもしれないが、鳥取県の人口規模の自治体が毎年ごっそり消えていく、と言えば分かりやすいだろう。ある論者の表現を借りると「静かなる有事」だ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米NEC委員長「利下げの余地十分」、FRBの政治介

ワールド

ウクライナ、和平計画の「修正版」を近く米国に提示へ

ビジネス

米10月求人件数、1.2万件増 経済の不透明感から

ワールド

スイス政府、米関税引き下げを誤公表 政府ウェブサイ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【クイズ】アジアで唯一...「世界の観光都市ランキング」でトップ5に入ったのはどこ?
  • 3
    中国の著名エコノミストが警告、過度の景気刺激が「財政危機」招くおそれ
  • 4
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 5
    「韓国のアマゾン」クーパン、国民の6割相当の大規模情…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    「1匹いたら数千匹近くに...」飲もうとしたコップの…
  • 8
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    ゼレンスキー機の直後に「軍用ドローン4機」...ダブ…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 7
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 8
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 9
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 10
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中